最新記事

ロシア

ロシア軍敗走で強まるプーチン批判

Russian Officials Demand Putin Resign Amid Ukraine Losses

2022年9月13日(火)18時32分
アンドリュー・スタントン

プーチンはこれまで反対意見は力で抑え付けてきたが Sputnik/Gavriil Grigorov/ REUTERS

<これまでに35人の区議がプーチンの辞任を求める要請書に署名>

ウクライナ軍の反転攻勢でロシア軍の敗走が重なるなか、ロシアの当局者の間でウラジーミル・プーチン大統領の辞任を求める声が広がっている。政権が反体制派を厳しく取り締まるロシアでは異例の事態だ。

プーチンは2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻を開始。圧倒的な兵力を誇ったロシア軍は数日で首都キーウを陥落させる勢いだったが、アメリカをはじめとする同盟諸国の支援を受けたウクライナの強力な抵抗に遭った。これにより、ロシア政府はウクライナ侵攻の当初の目標を達成することができずにいる。

ウクライナ軍は先週から、南部ヘルソンや東部ハルキウ(ハリコフ)でロシア軍部隊を奇襲し、1600平方キロ以上の領土を奪還した。とくにこの週末、ロシア軍はイジュームなどの主要都市から撤退を余儀なくされた。

この一連の敗北が「反プーチン」機運の広がりにつながっているようだ。サンクトペテルブルクのスモルニンスコエ地区の区議であるクセニア・トルストレムは、9月12日にツイッターに投稿を行い、ロシア地方議会の区議35人がプーチンの辞任を求める要請書に署名したと明かした。プーチンによるウクライナ侵攻が、ロシアに「害を及ぼしている」というのが理由だ。

プーチンは「ロシアに害を及ぼす」

モスクワなど複数の主要都市の区議グループも要請書に署名している。トルストレムはこの要請書について、誰の「名誉を傷つける」ものでもないとしている。

ロシア下院は3月、軍に関する「偽情報」の拡散を禁止する新法を可決。当局はこの法律を利用して、ウクライナへの「特別軍事作戦」を批判した者を取り締まり、軍事侵攻について異を唱えるのは危険な行為になった。

区議たちは今回、ウクライナでの軍事作戦に具体的に言及こそしていないものの、要請書共に添えた短いメッセージの中でプーチンの行動を非難した。

要請書は「我々ロシア地方議会の区議グループは、ウラジーミル・プーチン大統領の行動がロシアと市民の未来に害を及ぼすと確信している」と述べ、さらにこう続けている。「プーチンがロシア連邦の大統領の座を退くことを要求する!」

スモルニンスコエ地区では、これまでにも複数の議員がプーチンを批判する声明を出していたが、今回はロシア政府の「お膝元」であるモスクワを含むほかの複数の自治体の区議も要請書に署名した。ウクライナでの敗北が続くなか、ロシアの当局者たちの間で不満が高まっていることを示唆している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今

ワールド

APEC首脳会議、共同宣言採択し閉幕 多国間主義や

ワールド

アングル:歴史的美術品の盗難防げ、「宝石の指紋」を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中