最新記事

ウクライナ

ウクライナ軍、占領されたヘルソン唯一の橋の破壊に成功か

Russia Making Floating Bridge After HIMARS Strikes, Still Vulnerable: U.K

2022年8月24日(水)19時24分
ジュリア・カルボナーロ

占領下、ロシアの国籍とパスポートをもらうために並ぶヘルソン市民(7月25日) Alexander Ermochenko-REUTERS

<ロシアが住民投票で支配の既成事実化を図ろうとしているヘルソンで、ロシア軍の物資輸送の要衝であるアントノフスキー橋を破壊できれば、住民投票どころではなくなる可能性も>

ロシアが占領したウクライナ南部の都市ヘルソンでは、近郊のドニプロ川に架かる唯一の橋アントノフスキー橋が、アメリカがウクライナに供与した高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)の攻撃で破壊された模様だ。イギリス国防省によれば、ロシア側はウクライナ南部の前線からヘルソンへの物資輸送を継続するため、この川に舟橋を架けようとしているところだった。

アントノフスキー橋はドニプロ川以西のロシア支配地域(特にヘルソン)に通じる最も重要な交差路にあたる。7月19日にウクライナのロケット弾による攻撃を受けて以来、少なくとも8度の攻撃を受けたため、ロシア軍はこの地域で大型軍事車両を動かすことができなくなっていた。

さらに8月22日には、アントノフスキー橋を修復して弾薬を運ぶロシア軍をウクライナ軍が攻撃し、橋が崩壊したという未確認情報もある。同日ソーシャルメディアに出回った橋の画像や動画には、現場から炎と大量の煙が立ち上る様子が写っている。

輸送の大動脈を攻撃

8月14日にアントノフスキー橋を攻撃したとき、ウクライナ南部防衛軍のナタリヤ・フメニウク報道官はその狙いをこう述べていた。「われわれは、占領された地域への輸送・物流の大動脈を目標とした砲撃準備を続けている。これは、占領者に(撤退という)正しい判断をうながすという明確な意図に基づく作戦だ」


橋が崩壊したかどうかは不明であり、メディアでは報じられていない。だがワシントンのシンクタンク戦争研究所(ISW)によれば、8月21日と22日の攻撃で、ドニプロ川とその支流に架かる道路橋は「大型輸送には使用できない」状態になった可能性が高い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア安保会議書記、2日に中国外相と会談 軍事協力

ビジネス

米サイバーマンデー売上高、6.3%増の見通し AI

ビジネス

BofA、FRBの12月利下げを予想 据え置き見通

ビジネス

米、英の医薬品関税をゼロに NHS支出増と新薬価格
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 9
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中