最新記事

ウクライナ

「ロシア軍より強い」危険な集団...北朝鮮のウクライナ「派兵」が戦況を変える?

North Korea in Ukraine?

2022年8月18日(木)19時34分
A・B・エイブラムズ(米朝関係専門家)
朝鮮人民革命軍

今年4月、朝鮮人民革命軍創建90周年を記念して行われた夜間の軍事パレード KCNAーREUTERS

<朝鮮人民革命軍のウクライナ東部への派兵計画が伝えられているが、失う物のない「無敵の軍隊」は、本当に戦況を変えるかもしれない>

北朝鮮がロシア軍を支援するためウクライナの戦闘地域への部隊派遣を検討していると、ロシアとウクライナ東部の親ロシア派支配地域の複数のメディアが伝えた。

北朝鮮はウクライナから一方的に分離独立を宣言した東部の親ロ派支配地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を7月13日に正式に国家として承認。その数日後には、この地域の復興事業を支援するため労働者の派遣を検討していることが伝えられ、さらにはドネツク州の法廷でウクライナ人捕虜の「戦争犯罪」を裁く裁判にも協力する意向だと伝えられた。

そればかりか、その後ウクライナ戦争への軍事介入まで検討していることが明らかになった。北朝鮮の派兵計画を最初に報じたのは、ドネツクとルハンスク(ルガンスク)両州を合わせたドンバス地域の親ロ派メディアだ。続いてロシアの国営テレビがこれを朗報として大きく取り上げた。

これらの情報はいずれも確認が取れていない。ドンバス地域のメディアは北朝鮮が最大10万人の派兵を検討していると伝えたが、この数字は信じ難い。だが北朝鮮は過去にも外国の紛争に介入している。介入により北朝鮮とロシア、ウクライナの親ロ派の三者が得るメリットを考えれば、派兵の可能性は十分にある。

北朝鮮の軍隊はベトナム戦争で米軍と戦い、複数の中東地域で主にアメリカが支援する勢力と戦ってきた。加えてナミビア独立戦争からイラン・イラク戦争まで世界各地の紛争地域で直接的な介入を避けつつも、アメリカと敵対する勢力にテコ入れしてきた。

北朝鮮の介入でロシアが優勢になれば、西側諸国の関心は引き続き東欧にクギ付けになり東アジア情勢が注目されずに済む。なおかつアメリカには引き続き圧力をかけられ、北朝鮮にとっては一石二鳥だ。

しかも北朝鮮の軍隊がウクライナで戦うことになるのは、米軍の助言と訓練を受け、米情報機関と協力し、NATOから膨大な武器供与を受けている軍隊。北朝鮮にしてみれば、それは願ってもない実戦経験だ。

それ以前に、どんな形であれ参戦すればロシアから資金援助を受けられる。ロシア製品や軍用ハードウエアなども流入するだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ氏、欧州駐留米軍の一部

ワールド

ロシア大統領特使が訪米、ウクライナ和平や経済協力巡

ワールド

ロシアがイースター停戦表明、11─12日 ウクライ

ワールド

イスラエル首相、レバノンとの和平交渉開始指示 米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポケモンが脳の発達や病気の治療に役立つかも
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中