最新記事

アメリカ社会

アメリカ国民の4人に1人が不買運動を実施中 ショッピングから旅行まで、行動で示す信条

2022年7月5日(火)11時21分
ニューヨーク証券取引所の前を通り過ぎる人の影

米国で商品ボイコット(不買運動)が大きなうねりとなっている。オンライン融資市場を運営するレンディング・ツリーの最近の調査では、米消費者の4分の1が、過去に買ったことのある商品やその企業をボイコット中だ。ニューヨーク証券取引所で2008年7月撮影(2022年 ロイター/Chip East)

米国で商品ボイコット(不買運動)が大きなうねりとなっている。オンライン融資市場を運営するレンディング・ツリーの最近の調査では、米消費者の4分の1が、過去に買ったことのある商品やその企業をボイコット中だ。

理由は政治信条の違いや社会問題に対する企業の姿勢、環境への影響を巡る懸念などさまざま。人々は声を上げるだけでなく、消費行動で抗議の姿勢を表明するようになった。

レンディング・ツリーの首席クレジットアナリスト、マット・シュルツ氏は「人々はここ数年、政治姿勢を行動に移すことに前向きになったため、ボイコットを行う人の数は多い。意見を聞き入れてもらうための有効な方法の1つがボイコットだ」と語った。

ボイコットは目新しい話ではない。実際、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に殺害された後、2020年夏にレンディング・ツリーが実施した調査では、ボイコットを行っている人の割合が今よりさらに大きかった。

今年4月に2100人以上を対象に実施した最新調査では、何らかの商品あるいは企業をボイコットしている割合が最も高いのは年収が6桁台の消費者で、この層の37%がボイコット中だった。続いて10代後半から20代前半のZ世代(32%)、20代後半から40歳ぐらいまでのミレニアル世代(28%)の順となった。

これらの層は31%が民主党支持者で、24%が共和党支持者だ。

ボイコットは旅行先にも及んでいる。調査では、法的・政治的相違を理由に特定の州や国を旅行先から外している、と答えた割合が24%に達した。

非営利組織向けのブランディング代理店、ロージーの創業者であるエイドリアン・ライト最高経営責任者(CEO)は「これらの数字に意外性はない。人々は、どこでお金を使うべきで、どこで使うべきでないかを、より強く意識するようになっているからだ」と述べた。

「集会や行進も良いが、集会では望む結果は得られない。世界を前に進めるためには、いかに効果的にトラブルを起こすか、いかに創造的に戦術を進めるか考えなければならない」という。

例えば、トランプ前政権時には「グラッブ・ユア・ウォレット(財布をつかめ)」と銘打った活動組織が、ボイコットすべきトランプ氏関連の企業を一覧表にまとめた。「トランプ政権が女性、移民、非白人コミュニティを次々と標的にしたことへの抗議」が目的だった。

政治的に反対側の動きとして、ウォルト・ディズニーは最近、フロリダ州のいわゆる「ゲイと言ってはいけない」法案に反対したことでボイコットの呼びかけに遭った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、次期5カ年計画で銅・アルミナの生産能力抑制へ

ワールド

ミャンマー、総選挙第3段階は来年1月25日 国営メ

ビジネス

中国、ハードテクノロジー投資のVCファンド設立=国

ワールド

金・銀が最高値、地政学リスクや米利下げ観測で プラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中