最新記事

英王室

「ここまで愚かだったとは」──チャールズ皇太子、スーツケース入りの大金授受が発覚

Charles 'Stupid' to Accept €3m in Cash as Calls Grow for New Investigation

2022年6月29日(水)16時51分
ジャック・ロイストン

チャールズはイギリスのすべての政治家や官僚に顔が利く自分の立場を自覚していない? Justin Tallis-REUTERS

<チャールズ皇太子は英国王にふさわしくないのでは? カタールの元首相からスーツケースや買い物袋に入れた現金計3万ドルを受け取ったことが明るみに>

イギリスのチャールズ皇太子がカタールの政治家から300万ユーロの現金を受け取ったことについて、でイギリスのEU離脱の立役者ナイジェル・ファラージュは「最低だ」と非難した。

英サンデー・タイムズ紙によると、チャールズはカタールのハマド・ビン・ジャシム・ビン・ジャブル・サーニ元首相から、自身の慈善団体「プリンス・オブ・ウェールズ慈善基金」に対する数回に渡る寄付を現金で受け取っていたという。

チャールズ皇太子は2015年に1対1で元首相と会い、スーツケースに入った100万ユーロ(約106万ドル)を渡された。別の機会には高級百貨店フォートナム・アンド・メイソンの手提げ袋に入った札束を受け取ったと同紙は報じている。

ただし、元首相から皇太子に現金が渡ったこと自体に違法性があったという指摘はなく、チャールズの慈善団体に入金され、「適切に処理」された、と同紙は報じた。慈善団体には現金による寄付の受け入れが認められている。

チャールズが受け取った現金は、500ユーロ紙幣だったと言われている。これは、「ビンラディン」の通称で呼ばれる高額紙幣で、マネーロンダリングなど金融犯罪に悪用されやすいことから2016年に発行停止が決まった。

イギリス独立党元党首のファラージュは、ツイッターにこう書き込んだ。「チャールズ皇太子は私が思っていた以上に愚かだ。これは最低だ」

怪しい背景、疑わしい金

一方、君主制に反対する市民団体「リパブリック」は、イギリスの規制当局である慈善事業委員会に調査を求めることを発表した。

リパブリックの最高責任者グラハム・スミスは声明で以下のように述べた。「この話は衝撃的だ。チャールズ皇太子はハマド・ビン・ジャシム元首相に私的に会った。関係者は同席せず、王室行事日報にもそのことは一切公表されていない」

「ハマド・ビン・ジャシムはその後、チャールズ皇太子に直接会い、3度に渡って合計300万ユーロを支払った。チャールズ皇太子は、その現金を、自分のお気に入りのプロジェクトの追求と、所有する土地の一部の運営のために設立した慈善団体に提供した」。

「ハマド・ビン・ジャシムは人権問題で深刻な非難を浴びている人物だ。そしてイギリスでは経済的、その他の大きな利益を得ている」

「チャールズ皇太子はイギリスの首相やすべての政府閣僚に顔が利き、すべての閣議決定を知ることができる立場にある。したがって、ハマド・ビン・ジャシムが見返りに何を期待したのか、という倫理的に重大な問題が生じる」

この問題が明らかになったのは、エリザベス2世の健康状態の悪化からチャールズ皇太子が国王に近い職務を増やしている時期だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中、通商分野で歩み寄り 301条調査と港湾使用料

ビジネス

テスラの10月中国販売台数、3年ぶり低水準 シャオ

ビジネス

米給与の伸び鈍化、労働への需要減による可能性 SF

ビジネス

英中銀、ステーブルコイン規制を緩和 短国への投資6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 6
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中