最新記事

競馬

補欠から繰り上げ出走して優勝、気弱だった私の愛馬がなぜ栄冠をつかめたか

I Trained Rich Strike

2022年6月17日(金)16時06分
エリック・リード(競走馬の調教師)
ケンタッキーダービー

勝利の時 リッチストライク(右下)を育てた筆者(中央)と騎手のリオン(左) JAMIE RHODES–USA TODAY SPORTS–REUTERS

<才能があっても、ここぞという時に戦うのをやめてしまうリッチー。ケンタッキーダービーで攻め続けて勝ち切った彼が、たどった道とは?>

競馬のアメリカクラシック3冠の1つであるケンタッキーダービーで、私が調教する競走馬リッチストライク(愛称リッチー)が今年優勝するなんて思いもしなかった。

可能性がゼロだったわけではない。レースには予測不能な要素がたくさんある。でも、優勝なんて夢物語だと分かっていた。現実的な目標は10位以内に入ることだった。

昨年9月、リッチーはチャーチルダウンズ競馬場で行われた未勝利馬が出場するレースで初優勝を果たし、10月のキーンランド競馬場では3着に入った。私たちは彼の能力を認識し始めた。そして全てが動きだした。

リッチーは才能はあるのだが、ここぞという時に戦うのをやめてしまう。だから最後まで攻め続け、勝ち切ることを教えなくてはならなかった。

そこでリッチーの前に数頭の馬を走らせる形で訓練を始めた。リッチーがスピードを緩めそうなあたりで、他の馬を抜けとたきつける。騎手が「行け!」と言えば、脇目も振らず走るようにする狙いだ。

これは「マイク・タイソンになれ」と言うようなものだ。タイソンは何者なのか分からない風貌だが、リングに上がると紛れもなくボクサーになり、相手を1分でノックアウトしようと攻め続ける。

この訓練を3週間ほど続けたある日、騎手が言ってきた。「このトレーニングはもう終わりにしよう。リッチーは抑えが効かない。ほかの馬を見ると、とにかく追い掛ける」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルのレバノン攻撃は停戦合意違反、交渉無意味

ビジネス

金融庁、プライベートクレジット問題で実態把握 大手

ビジネス

インタビュー:中東情勢収束のめど立たず、今期業績予

ビジネス

セブン&アイ、米事業上場は最短で27年度に延期 還
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 6
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 7
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 8
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 9
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中