最新記事

広告写真

米マクドナルド、ハンバーガー写真を「盛りすぎ」で訴えられる 

2022年5月23日(月)17時30分
青葉やまと

誇張された写真、誰もが気になっていた...... Yahoo finance- YouTube

<実際よりも美味しそうにみえるバーガー広告は、もはや業界の慣習となった。体積を稼げる生焼けの肉を使い、実際の商品よりも豊かな外見に仕上げているが......>

とろけるチーズに肉厚のパティ、そしてふわりと包み込むバンズ。食欲を多いにそそるファストフードの広告だが、実際に商品を受け取ってみてがっかりする経験はつきものだ。

消費者の多くは、画像と商品に差があるのはいつものことだと考え、知らず知らずのうちにギャップを受け入れているかもしれない。しかし、ニューヨークに住む男性は、予想よりも小さいバーガーに我慢ならなかったようだ。

男性は自らとそのほか被害を受けた顧客への補償として、5000万ドル(約64億円)の支払いを求める訴訟を起こした。訴訟はアメリカの3つの法律事務所が代理人となり、同時に米ウェンディーズを相手取った。集団訴訟に発展する可能性がある。

ニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所に5月17日に提出された訴状は、両社が「不実かつ誤解を招く広告」を展開していると訴えている。「(2社の)バーガーとメニュー商品の広告はフェアでなく、約束されたよりもはるかに価値が低い食べ物を提供されることで、消費者に金銭的な損害が生じている」との主張だ。バーガーのサイズと具材の量が広告よりも少ないことを問題視している。

美味しさ強調の「フードスタイリング」 生焼けや髭クリーム使用も

バーガー業界では多くの食品業界と同じように、「フードスタイリスト」と呼ばれる専門の担当者が宣材写真の撮影を手助けしている。

基本的にプロモーション広告やメニュー用の写真・映像は、実際に提供されるものと同じ食材を使って行われる。しかし、撮影現場では「フードスタイリング」と呼ばれる調理・盛り付けの技法が導入され、その制作工程は店舗での調理と大きく異なる。

あるフードスタイリストは訴状のなかで、宣材写真は生焼けのパティを使って撮影されると証言している。水分が抜けて縮む前の状態を写真に収めることができ、火の通った実物よりも美味しそうにみえるというわけだ。当然、この状態では店舗で提供することができない。

ほかにも撮影の現場では、口に入れると危険な針で具材を固定し、食材同士のあいだに隙間を設ける手法が用いられる。こうすることで食品の高さが増してボリューミーな外観になり、全体にふんわりとした食感を想起させることができる。

広告撮影において、フード・スタイリングはごく一般的な技法だ。米ワシントン・ポスト紙は食品の撮影現場において、ホイップクリームのようにみえるシェービングクリームを使ったり、コーヒーの代わりに水で割った醤油を使ったりすることがあると紹介している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン、今夏の観光売上高は鈍化見通し 客数は最高

ワールド

トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一

ビジネス

トランプ氏の銅関税、送電網などに使用される半製品も

ワールド

日米韓が合同訓練、B52爆撃機参加 国防相会談も開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中