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プーチンはかつてのヒトラーより「有利」な立場...そこで世界が思い出すべき教訓とは

FROM MUNICH TO MOSCOW

2022年3月8日(火)18時03分
ピーター・シンガー(米プリンストン大学生命倫理学教授)

ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キエフにとどまり、国民を鼓舞している。とはいえ大半の軍事専門家によれば、ロシアの軍事的勝利は不可避だ。

その点は承知の上か、ゼレンスキーはロシア市民に戦争停止を呼び掛けている。それこそ、多くのロシア人の願いだ。侵攻開始発表後、ロシア国内の約60都市で抗議活動が行われた。ウクライナにいるロシア兵が不当な戦争への参加を拒む必要もある。

プーチンが指導者であり続ける限り、ロシアは国際社会の「のけ者」と見なされるべきだ。厳しい制裁によって、豊かな生活を夢見るロシア国民の希望を打ち砕かなければならない。これは、戦争反対を訴えるロシアの人々にとっては特に不公正なことだ。だがそれ以外に、プーチンに代わって倫理基準や国際法を重んじる人物を選ぶという希望を、彼らが手にする道はあるのか。

時に敗北の苦痛は解放に変わる。今のドイツ人がそう証言してくれるはずだ。

©Project Syndicate

220315P16_PeterSinger_b_v2.jpgピーター・シンガー
PETER SINGER
プリンストン大学教授(生命倫理学)。著書『動物の解放』(1975年)で注目を集めた。NPO団体TheLife You Can Save(あなたが救える命)創設者。オーストラリア出身。

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