最新記事

後遺症

市販の抗ヒスタミン薬でコロナ後遺症「ロングコビット」の症状が解消した、との症例報告

2022年2月17日(木)12時20分
松岡由希子

市販の抗ヒスタミン薬の服用でコロナ後遺症「ロングコビット」の症状が改善した症例が報告された Shidlovski-iStock

<新型コロナの初期症状から回復した後も倦怠感などの後遺症に苦しむ人々は多いが、市販の抗ヒスタミン薬で症状が改善した症例が発表された......>

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期症状から回復した後も、頭に靄がかかったような状態に陥って思考力や集中力が低下するブレインフォグや関節痛、倦怠感、運動耐容能低下などが数カ月にわたって続く症状を「ロングコビット」または「PASC(新型コロナウイルス感染急性期後の後遺症)」という。現時点で標準治療はなく、ロングコビットに苦しむ人々は2021年8月時点で約5400万人と推定されている。

ブレインフォグや倦怠感、胸痛などがほぼ解消された

米カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームは、2022年2月7日、市販の抗ヒスタミン薬の服用でロングコビットの症状が改善した症例2件を学術雑誌「ジャーナル・フォー・ナース・プラクティショナーズ」で報告した。

医療従事者である40代の白人女性は2020年1月上旬に新型コロナウイルスに感染した。この女性には、特発性レイノー現象、多嚢胞性卵巣症候群、牛乳アレルギーなどの病歴はあるが、概ね健康であった。

感染から72時間までに倦怠感や頭痛があり、10日目までに胸や背中に発疹が現れた。その後、胸痛や空咳、発熱、味覚障害などが現れ、これらの症状が24日間続いた。以降、一部の症状は消失したが、2020年3月にブレインフォグ(脳に霧がかかったような症状)が現れた。内科や神経科、感染症科、血液内科など、複数の専門医の診察を受けたものの、原因が特定されず、症状は解消されないままであった。

感染から6カ月後の2020年7月、女性はチーズを食べてしまったため、市販の抗ヒスタミン薬「ジフェンヒドラミン」50ミリグラムを服用したところ、翌朝、倦怠感が大幅に緩和され、集中力も改善した。その後、これを服用しないまま72時間が経過すると倦怠感などが再発し、「ジフェンヒドラミン」を再び服用すると症状が改善した。

医師は女性に抗ヒスタミン薬「ヒドロキシジンパモ酸塩錠」25ミリグラムを処方し、1日150ミリグラムを超えない範囲で症状が緩和されるまで用量を漸増するように指示した。抗ヒスタミン薬の服用開始から4カ月後の2020年10月にはヒドロキシジンパモ酸塩錠を1日50ミリグラムまで増やしたところ、ブレインフォグや倦怠感、胸痛などがほぼ解消され、罹患前の身体機能の約90%まで回復し、完全に復職できたという。

季節性アレルギーのために服用していた抗ヒスタミン薬で

2人目の症例は、教師として勤める健康な中年の白人女性だ。喘息と季節性アレルギーのほか、既往歴に異常はない。

女性は子どもから新型コロナウイルスに感染したとみられ、発熱や関節痛、息切れが約3カ月続いた。発症から1か月後には、頻脈や倦怠感、不眠、無嗅覚、味覚障害、集中力の低下、しもやけに似た「コビット・トゥ(コロナのつま先)」が現れた。倦怠感や集中力の低下、「コビット・トゥ」などの症状は、9カ月以上続いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送ウクライナ北東部ハルキウの集合住宅に攻撃、2人

ビジネス

米国株式市場=5営業ぶり反発、ダウ319ドル高 半

ワールド

金正恩氏、温室農場を視察 党大会に向け進展確認か

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は156円台後半 介入警
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中