最新記事

トレンド

「単純で気軽」なのに数百万人がハマる、単語当てゲーム『ワードル』の魅力

Free, Fun, and Friendly

2022年2月11日(金)09時01分
ルーク・ウィンキー
ワードル

超シンプルな『ワードル』がこれほど受けているのはなぜ? JAKUB PORZYCKI-NURPHOTO/GETTY IMAGES

<5文字から成る「今日の単語」を推測するだけ。そんなネットゲーム「Wordle(ワードル)」が数百万のファンを生んだ理由とは>

アメリカ社会は今、ネットを主戦場にして分断されている。新型コロナウイルスのワクチン接種の是非から、昨年1月の連邦議会議事堂襲撃の真実まで、さまざまな問題をめぐって社会が割れている。

こんな時代に、つかの間でも一体感を取り戻せる何かが欲しい? だったら、『ワードル』はいかがだろう? アルファベット5文字の英単語を探り当てるというシンプルなゲームだが、今や英語圏を中心に人気爆発中だ。

ワードルは、パソコンやスマホで遊べる無料のゲーム。ネット上には成績を自慢し合う人々があふれている。

流行は突然始まった。開発者はニューヨークのソフトウエアデザイナー、ジョシュ・ワードル。彼は当初、このゲームを言葉遊びの好きな妻とプレーするためだけに使っていた。

ところが昨年10月に全世界に公開すると、初めは3桁台だった1日のプレーヤー数が瞬く間に数百万人に達し、1月末にはニューヨーク・タイムズに買収された。

ルールは単純。5文字から成る「今日の単語」を当てるだけ。プレーヤーには答えるチャンスが6回与えられる。

毎回の挑戦でアルファベットの位置が正解と合っていればその文字は緑に、位置が違っていれば黄色に、その文字が正解の単語に入っていなければグレーで表示される。

例えば当てずっぽうに「HINGE(ちょうつがい)」と入力してみたら、「I」が緑、「G」と「E」が黄色に表示されたとする。そこから推理して、やがて正解の「TIGER(虎)」にたどり着くというわけだ。

機内誌の数独で遊ぶくらいの気軽さ

ワードルは1日1問しか出題されず、過去の問題はプレーできない。今どきのスマホゲームにありがちなウザったい広告やうるさい通知は一切ない。旅客機の機内誌を開いて数独で遊ぶような気軽さが身上だ。

「ほかのゲームみたいに、1時間ずっと夢中になって遊ぶことはできない。でも、毎日やってしまう」と、カナダに住む編集者のジミー・トムソンは言う。「ゲームに人生を壊されずに済むくらいの、いい案配だよね」

トムソンは毎朝ツイッター上で繰り広げられるワードル大会に参加しているが、競争しているというより、どちらかというと地味で心温まる時間だと感じている。「このゲームに運の要素が大きいことは、みんな分かってるし」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アリババ、1─3月期は売上高が予想上回る 利益は大

ビジネス

米USTR、対中関税引き上げ勧告 「不公正」慣行に

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導

ワールド

豪政府が予算案発表、インフレ対策盛り込む 光熱費・
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中