最新記事

フィギュアスケート

北京五輪のフィギュアに平昌で不正をした中国人審判が戻っていた!

Skating Judge to Participate in Olympics Despite 'Systematic Bias' in 2018

2022年2月1日(火)16時32分
ジャスティン・クラワンス
平昌の羽生結弦

平昌五輪では男子フィギュアで4位に入った中国人選手の得点をめぐり不正採点疑惑があった( 写真は優勝した羽生結弦) Phil Noble-REUTERS

<あからさまに中国人贔屓の採点で資格停止処分を受けた男性審判が、フィギュアスケートの採点パネルのリストに加わっていた。また中国人選手にいい点を与えるつもりか>

2018年に韓国で開催された平昌(ピョンチャン)冬季五輪で、採点に「明確かつ組織的なバイアス」があったとして資格停止処分を受けたフィギュアスケートの中国人ジャッジが、来たる北京冬季五輪で採点パネルの一員に加わることになった。

中国人の男性審判フアン・フェン(Huang Feng)は、2月4日に開幕する北京五輪において、技術審判(テクニカル・パネル)の中のテクニカルコントローラーという役職でリストに記載されている。この役職は、テクニカルスペシャリストを監督する役割を担っており、「特定のエレメンツ(要素)に付けられた難易度について訂正を提案することができる」とロイターは伝えている。

フアンは、2018年の五輪のあと、国際スケート連盟(ISU)から1年間の資格停止処分を受けた。ISUの規律委員会は、フアンがこの五輪の際に、中国選手に大きく偏った採点をしたと判断した。

「その重大な不正は、フィギュアスケート界でもっとも重要かつ名誉ある競技会である冬季五輪でおこなわれたという事実により、いっそう悪質なものになった」と、ISUはプレスリリースのなかで述べていた。

戻ってくるなんておかしい

規律委員会によれば、中国選手に対するフアンのバイアスは、とりわけペア競技において、2018年五輪での不正採点以前から始まっていたという。

ISUは、2018年の平昌五輪が始まる前にも、2017年ISUグランプリファイナルでの採点に関してフアンに警告書を送っていた。ロイターが入手したコピーによれば、ISUはその警告書のなかで、フアンが「エレメンツでもコンポーネンツ(演技構成)でも、客観的な根拠をいっさい欠いたまま中国ペア2組を明らかに後押ししていた」と述べている。

「これは自国びいきと評価された」と警告書は続く。

2022年北京五輪にいたるまでのあいだに、ISUは複数回にわたり、フアンを採点から締め出そうと試みてきた。だが、フアン本人が、バイアスに関する自身への告発を退けるように要請してきた。

選手のなかには、フアンが中国選手をひいきしていたとするISUの見解に同意する者もいる。また、多くの選手は、2022年大会でフアンが採点を許された場合の競技の公正性に懸念を抱いている。

「資格停止処分を受けながら、次の五輪でも仕事をする。そんなことを許すべきではない」。引退したカナダのペア選手メーガン・デュハメルは、ロイターに対してそう話している。「われわれスポーツ界は、そうした人を再び迎え入れるのではなく、一掃しようと努めるべきだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

街角景気、4月DIは1年8カ月ぶり低水準 円安によ

ワールド

エクソンCEOの取締役会議長再任、カルパースが反対

ビジネス

豊田織、日銀の清水季子理事が社外取締役に内定

ビジネス

英GDP、第1四半期は予想上回る前期比0.6%増 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測

  • 4

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 7

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 8

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 9

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 10

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中