最新記事

選挙

香港議会選、民主派排除で親中派が圧勝 投票率は過去最低30.2%

2021年12月20日(月)11時16分
香港立法会選の開票所

香港で実施された立法会(議会)選挙は、投票率が過去最低の30.2%となった。香港立法会選の開票所で撮影(2021年 ロイター/Lam Yik)

香港で19日実施された立法会(議会)選挙は、親中派が圧勝した。「愛国者」と認められた人のみが立候補できる制度への変更後初の選挙となったが、有権者の関心は低く、投票率は過去最低の30.2%となった。

2016年の前回選挙の投票率は58%で、今回は約半分に落ち込んだ。最新の結果によると、親中派と親体制派がほぼ全ての議席を獲得した。

新たな選挙制度は海外の政府や人権擁護団体などから批判され、主流の民主派政党は候補者を擁立しなかった。

民主建港協進連盟(DAB)のスターリー・リー(李慧けい)党首は、同党が民意を欠いているという批判を退け、愛国者だけが議員になれる選挙制度改革で統治が改善されると強調した。

民主派のフレデリック・ファン氏など穏健派とされる十数人の候補者の大半は、議席を獲得できなかった。ファン氏は「現在の状況では市民を後押しするのは簡単ではないとしか言えない。彼らは現状に無関心なのだろう」と述べた。

香港政府は18日、市民に一斉にテキストメッセージを送り、投票するよう求めた。

香港バプテスト大学のジャンピエール・カベスタン政治学教授は「政府が高い投票率の確保を狙っていたのは明白だ。そうしなければ、選挙の正当性が否定される可能性があるからだ」と指摘した。

英国からの返還後で最低の投票率は2000年の43.6%だった。

新たな選挙制度下で、立法会の定数は90に増え、直接選挙枠が全体の半分から約4分の1(定数20)に減った半面、親中派が占める選挙委員会が3分の1超を選出する形となった。香港では、国家安全維持法(国安法)の下で民主派への締め付けが強化され、多数の活動家が拘束されている。

選挙当日は電車やバスを含む公共交通機関が運賃を無料にしたため、駅などは混み合ったが、投票所に人混みはなかった。

ピーターと名乗る21歳の学生は「深刻な抑圧下で、投票を拒否することがわれわれの不満を表明する唯一の手段だ」と語った。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は投票締め切り後に声明を出し、130万前後の票が投じられたことは「改善された選挙制度への支持の表れ」だとの見方を示した。

政府の発表によると、選挙前には白紙投票を呼び掛けた10人が逮捕された。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、FRB次期議長の承認に自信 民主党の支

ワールド

エプスタイン文書追加公開、ラトニック・ウォーシュ両

ワールド

再送-米ミネソタ州での移民取り締まり、停止申し立て

ワールド

移民取り締まり抗議デモ、米連邦政府は原則不介入へ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 4
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「着てない妻」をSNSに...ベッカム長男の豪遊投稿に…
  • 7
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中