バイデンはどうすれば「失敗大統領」にならずに済むか

UNDER PRESSURE

2021年12月18日(土)15時55分
ビル・パウエル(本誌シニアライター)

211221P20_BDN_03.jpg

アフガニスタン情勢を協議 ERIN SCOTT/WHITE HOUSE

民主党の内部対立を大々的に取り上げてきた報道の論調も変わり始めている。

この法案が成立すれば、民主党は来年の中間選挙で有権者にアピールする材料が手に入る。「少なくとも、ダメージを和らげる効果はある」と、サバトは言う。

2大法案が成立すれば、バイデンを「無能なおいぼれ」扱いする右派系メディアへの強烈な反論にもなる。

ホワイトハウス関係者や議会関係者に言わせれば、政権の危機だと騒ぐのはまだ早い。中間選挙までにはまだ1年ある。法律を作り、その恩恵が人々に届き始めれば、批判はおのずと鎮まる――というわけだ。

それは、ジョンソン元大統領がやってのけたことにほかならない。

一方、バイデン政権は、インフレ対策にも力を入れ始めている。世論調査によれば、物価の高騰は有権者の重要な関心事の1つになっているようだ。

大統領の側近たちによれば、インフレ対策で連邦政府ができることには限りがあるが、それでも実行できることはあるという。

トランプ前政権で導入された関税の廃止はその1つだ。トランプは、鉄鋼やアルミニウム、木材など、多くの輸入品に関税を設けた。その関税が住宅など多くの分野で価格上昇につながっている。

バイデン政権を支持する労働組合は、関税の廃止に渋い顔をするかもしれないが、撤廃の必要性をしっかり説明するべきだ。

こうしたことを実行すれば、イデオロギーに固執しない現実主義者というイメージが強まるだろうと、側近たちは期待する。ここ2カ月ほどで離れていった無党派層の支持も戻ってくるかもしれない。

「まるでトランプ」なその手法

バイデンが支持を取り戻すために、ほかには何ができるのか。

多くの民主党関係者が認めるように、看板政策に関する党内対立以外の面でも、この夏の数カ月はバイデン政権にとって厳しい日々になった。

そして、それは自分でまいた種だとみられている。悲惨な結果を招いたアフガニスタン撤退と、メキシコとの国境で今も続く不法入国者問題が大きな打撃になったというのだ。

アフガニスタンからの米軍撤退をめぐる醜態は、申し開きの余地がない大失敗だ。

バイデン政権とその周辺は、時間がたてば有権者が忘れてくれると期待しているが、共和党は来年の中間選挙で民主党批判の材料にする気満々だ。

バイデン政権が、アフガニスタン退避を「異例の成功」と位置付けようとしたことも問題だった。

「まるでトランプだ」と、ある民主党議員(匿名を希望)は憤る。「トランプが、新型コロナに関する全てについて、素晴らしい対応をしたと主張したのと同じだ。有権者はそういうデタラメな言動にノーを突き付けたのに」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スイス・スキーリゾートのバーで爆発、約40人死亡・

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 9
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 10
    米中関係は安定、日中関係は悪化...習近平政権の本当…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中