バイデンはどうすれば「失敗大統領」にならずに済むか

UNDER PRESSURE

2021年12月18日(土)15時55分
ビル・パウエル(本誌シニアライター)

211221P20_BDN_04.jpg

手本はジョンソン元大統領? BETTMANN/GETTY IMAGES

バージニア大学の政治学者ラリー・サバトは、「大統領は自分の中のLBJ(リンドン・ジョンソン元大統領の略称)を表現する必要がある」と指摘する。

ケネディ政権の副大統領になる前のジョンソンは、「上院の達人」と呼ばれていた。

相手をおだて、あるいは脅して自分の欲しいものを手に入れる方法を知っていた。上院院内総務として南部の民主党議員と交渉し、後に自身が大統領として成立させた1964年公民権法の先駆けとなる1957年公民権法を成立させたのは有名な話だ。

バイデンは大統領選中、党派対立を超えて成果を出す方法を知っていると強調した。自分なら、上院議員や副大統領としての長いキャリアを通じて親交のある多くの民主党議員や共和党議員と協力して、この国を「正常」な状態へと導ける――それこそ大統領選を勝利に導いたメッセージだった。

ジョンソンが公民権法で成功したように、バイデンも自党の意見を統一する必要がある。

AOCやバーニー・サンダース上院予算委員会委員長に代表される進歩派と、ジョー・マンチンやキルステン・シネマ両上院議員のような穏健派との間には、大きな溝がある。

民主党内の進歩派と穏健派は、バイデンの看板政策であるビルド・バック・ベター法案をめぐり、何カ月も党内で対立し続けた。

当初の案には、気候変動対策、メディケア(高齢者医療保険制度)の拡大、有給家族休業制度、コミュニティ・カレッジの無償化など、実に多くの内容が盛り込まれていた。そのまま法制化されていれば、政府支出の規模は、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策やジョンソン大統領の「偉大な政府」計画を大きく上回っていた。

ホワイトハウス関係者によると、バイデンは両派の間で妥協をまとめようと奔走していた。これがバイデン流の政権運営だと、周囲の人たちは言う。

「バイデンは妥協を知っていて、それは悪いことではないといつも言っている」と、あるホワイトハウスの議会対策担当者(取材に対応する権限がないことを理由に匿名を希望)は述べている。

世論の風向きは変わるのか

9月半ばには、マンチンとシネマをひそかにホワイトハウスに招いて穏健派の懸念に耳を傾け、その後も2人と緊密に連絡を取り続けた。

一方、側近と議会関係者によると、サンダースやジャヤパルなどの進歩派とも積極的に接触していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

TSMC、熊本県第2工場計画先延ばしへ 米関税対応

ワールド

印当局、米ジェーン・ストリートの市場参加禁止 相場

ワールド

ロシアがウクライナで化学兵器使用を拡大、独情報機関

ビジネス

ドイツ鉱工業受注、5月は前月比-1.4% 反動で予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「コメ4200円」は下がるのか? 小泉農水相への農政ト…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 9
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 10
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中