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日本のコロナ感染者数の急減は「驚くべき成功例」─英紙報道

2021年10月18日(月)16時00分
青葉やまと

「日本では驚くべきことが起きた」とガーディアン紙 REUTERS/Kim Kyung-Hoon

<ワクチン接種とマスク着用が貢献か。デルタ株固有の特性だとみる専門家も>

国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は現在、1日あたり500人から1000人程度で推移している。8月20日には2万5000人超を記録したが、それ以降急速な減少をみせてきた。ピーク時のおよそ2%にまで減少した計算になる。

この劇的な変化について英ガーディアン紙が10月13日、『瀬戸際からの復活:日本が新型コロナの驚くべき成功例になった理由』と題する記事を掲載し、目を見張る状況の変化であると報じた。

記事は8月前後の最悪期の混乱を振り返り、病床不足によって自宅療養を余儀なくされる人々が現れたと述べる。また、当時の菅首相が五輪開催を強行したために支持率の低下と退陣を招いたほか、首都近郊の緊急事態宣言を長期化させる要因にもなったとも論じている。

そのうえで閉会後2ヶ月のあいだに「日本では驚くべきことが起きた」と述べ、東京都の新規感染者数が1日あたり49人にまで減少したことなどに触れている。49人という数字は、感染者数がまだ少なかった昨年6月以来の低水準だ。

世界的に感染者数はゆるやかに減少しているが、同紙はイギリスなど一部の国と地域はいまだ高い水準に苦しんでいると述べ、目覚ましい改善が見られる日本と対比している。

急減の理由は

減少の理由については国内でもはっきりとした説明が確立していないが、ガーディアン紙も断定的な理由づけを行なっていない。ただ、2つの要因が大きく影響した可能性があるとみている。

1つ目は、ワクチン接種の浸透だ。日本は接種の開始時期こそ諸外国に遅れを取ったものの、現在では人口の約65%がワクチンの2回接種を終えており、これが新規感染を食い止めた可能性がある。

一方、イギリスで必要回数の接種を完了している率は現時点での日本と同程度だが、ここ1〜2ヶ月ほどは伸び悩んでいる。オーストラリアは55%前後と、日本を10ポイント程度下回る。両国では反ワクチン・デモが行われ、警官隊と衝突して負傷者を出すなどしている。アメリカの完了率もオーストラリアと同程度で、なおかつ伸び悩んでいる。

2つ目の要因として、マスク着用への抵抗感の少なさが幸いした可能性があるという。ガーディアン紙は「諸外国が屋内その他でマスク着用義務を緩和する一方、多くの日本人は思い切ってマスクを外すことを想像しただけでも身震いしている」と述べる。パンデミック以前から風邪やインフルエンザなどの予防で冬場のマスクは習慣化しており、着用に抵抗が少なかったことが要因のひとつとして考えられそうだ。

このほか、夏場のピーク自体が季節性のものだったとみる専門家もいる。エアコンを利用する夏冬は窓を開けづらくなり、感染症の流行につながる環境が生まれやすい。

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