最新記事

英王室

英王室のニューリーダーはチャールズではなくウィリアム──王室歴史家

Prince William, Not Charles, Is 'New Leader' of the Monarchy—Royal Author

2021年9月30日(木)18時48分
ジャック・ロイストン
ウィリアム王子とキャサリン妃

映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のワールドプレミアでも注目を浴びた二人(9月28日) Toby Melville-REUTERS 

<慈善団体の汚職スキャンダルに直面しているチャールズ皇太子よりも若さと人気を誇るウィリアム王子こそが「王室の未来」か>

危機に直面する英王室で、ウィリアム王子が王室の「次期リーダー」としての「道を切り開きつつある」――王室歴史学者のロバート・レイシーはこのように述べ、父親であるチャールズ皇太子ではなくウィリアム王子こそが、英王室の将来を担う存在だと指摘した。

レイシーは2020年10月に、ウィリアム王子とヘンリー王子の確執について書いた暴露本『バトル・オブ・ブラザーズ』を発表。さらに今年6月には、メーガン妃に対するいじめ疑惑をめぐって口論になったことから、ウィリアム王子がヘンリー王子をケンジントン宮殿から追い出したと証言していた。

レイシーは新たに米ピープル誌に寄せた記事の中で、ウィリアム王子が、スキャンダルの渦中にあるチャールズ皇太子から人気をさらい、英王室の将来を担う人物として存在感を増していると指摘した。

レイシーは記事の中で、次のように述べている。「メディアは王位の『存続そのものを脅かす』危機を取り上げたがる。だがイギリスの君主制度について50年近く研究を行ってきて学んだことは、『(王室の)生き残り、存続』などの言葉を軽々しく使うべきではないということだ」

「英王室は既に、処刑や国外追放に加えて、膨大な数のスキャンダルを生き延びてきた。そして今、チャールズ皇太子ではなくウィリアム王子が、新たなリーダーとして道を切り開きつつある」

絶えないスキャンダル

王室は今もさまざまなスキャンダルの渦中にある。3月にはヘンリー王子とメーガン妃が、米有名司会者オプラ・ウィンフリーのインタビュー番組に出演。ある王族メンバーが、2人のもとに生まれてくる子どもの肌の色について「どれぐらい黒いか」と懸念を表明したことなど、王室に関するさまざまな暴露を行った。

ウィリアム王子は放送後、3月11日にロンドン東部のストラットフォードにある学校を訪れた際、記者からこのことについて聞かれて、「私たちは人種差別的な家族ではまったくない」と短く答えた。

王室には悲しい出来事もあった。4月7日にエリザベス女王の夫であるフィリップ殿下が亡くなったのだ。

9月に入ると、今度はチャールズ皇太子の周囲でスキャンダルが発生した。多額の金銭と引き換えに勲章の授与などの便宜を図った疑いで、皇太子の慈善団体の責任者ら3人が辞任したのだ。

これは、慈善団体の責任者だったマイケル・フォーセットが、サウジアラビアの大富豪に対して、多額の寄付と引き換えに勲章とイギリスの市民権を得られるよう取り計らうと約束したとされる疑惑で、英政府の元閣僚が警察に捜査を求める申し立てを行った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中