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心理学

コロナ禍のトラウマから、子供の心を守るレジリエンスの育て方

KIDS ARE ALRIGHT

2021年9月24日(金)19時23分
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)

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レジリエンスを育てるには、ポジティブな出来事を書き出す作業なども効果的だという ASTRAKAN IMAGES/GETTY IMAGES

沈滞状態から繁栄状態に移行するには、セリグマンいわく「感謝の訪問」が助けになる。人生を変えてくれた人に感謝の手紙を書いて(目的を告げずに)相手を訪問し、手紙を読み上げるというものだ。

毎日寝る前に、その日うまくいった3つのことと理由を書き出す作業も役に立つ。「人間の脳は破滅的で、ポジティブな出来事を無視して忘れ、悲惨な出来事にこだわるようにできている。だがこの作業をすれば、ポジティブな面により意識的になり、遅くとも半年後には鬱や不安感が低下して、人生の満足度が上がる」

哺乳類の脳に植え付けられた無力感

ありがちに思える方法だが、確実に沈滞モードから脱出できるという。人類もその一員である哺乳類の脳は数百万年に及ぶ進化の結果、精神的痛手が大きい出来事に対して無力感を覚えるようにプログラミングされている。

レジリエンスのカギは、この哺乳類の「デフォルト」を克服すること。それには多くの場合、ポジティブな物事に意識的に目を向ける努力が欠かせない。

セリグマンが言うとおり、新型コロナは黒死病(ペスト)並みの惨事ではない。14世紀に流行したペストは最大2億人の命を奪った。当時の人々は事態を理解できず、出口なしだと感じたに違いない。

だがそれほど最悪の出来事だったペストの大流行が、結果としてポジティブなものにつながったと、セリグマンは指摘する。15世紀に最盛期を迎えたルネサンスだ。

パンデミックがもたらした難しい局面に子供や親たちが苦闘する今、覚えておきたい。試練の中でポジティブな何かを意識的に探す努力こそ、過酷な影響と戦う上で最も効果的な武器かもしれないことを。

「人々にどれほどレジリエンスがあるか、過小評価されていると思う」。底抜けに楽観主義者のセリグマンはそう話す。「私たちは出口に向かっているのではないか」

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