最新記事

中国

北京早くも東京五輪を利用し「送夏迎冬」――北京冬季五輪につなげ!

2021年8月10日(火)10時49分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
東京オリンピック閉会式

東京2020閉会式(8月8日) Thomas Peter-REUTERS

中国が東京五輪を積極的に支持したのは、コロナが原因で不開催となると北京冬季五輪に影響するからだが、閉会式の日に北京は早速全世界に向けて「送夏迎冬」というメッセージを発信し、北京冬季五輪へといざなった。

突然スマホに「送夏迎冬」のメッセージ

日本時間の2021年8月8日夜10時00分、東京五輪の閉会式が終わろうとしていた頃、突然スマホに中国共産党が管轄する中央テレビ局(中央電視台)の「央視新聞客戸端(CCTVクライアント)」から「送夏迎冬!梦想接棒!180天后北京見」(夏を見送り冬を迎える!夢をつなげよう!180日後に北京で会いましょう)というニュースが入ってきた。

おお、来た――!

予感が的中したぞ――!

慌ててクリックすると以下のような画面が目に飛び込んできた

endo20210810092301.jpg
CCTVの画面から

画面には「迎冬 BEIJING(北京)」とあって、その下に「東京と別れ 北京で相見える」とある。中国にとって東京の次はパリではなく北京だ。

この画面の下には、以下のような言葉が並んでいる(概略を示す)。

東京から北京へ

真夏から氷雪へ

異なる競技場で同じ夢を

180日後 中国の立春の季節に 北京、この"二つの五輪の都市"は

素晴らしい、並外れた、卓越した冬季五輪を世界にお届けします。

世界のトップアスリートが北京に集結し、再び世界が五輪の熱気に包まれる。

2022 See you in Beijing!(2022 北京で会いましょう!)

"さらに団結した "私たち 不見不散!(必ずお会いしましょう!)

(この「二つの五輪の都市」とは、2008に開催した北京五輪と2022年に開催する北京冬季五輪の二つを指す)

「さらに団結した」私たちとは?

これらのフレーズの中で最も気になったのは「更団結」(さらに団結)だ。

これは何を意味しているかというと、「東京は無観客」だったが「北京は有観客」なので、「世界の人々が、さらに団結している」ということである。

これまで何度もコラムに書いてきたように、中国が東京五輪開催を積極的に支持してきたのは、「コロナで開催できなかった」となると、「コロナを発祥させた中国への批難」に焦点が当たるからだ。今やコロナ感染者の累計は世界で2億人という数値にまで達してしまった。人類史上でも稀に見る災禍である。

したがってコロナで五輪が開催できなかったとなると、全人類の批難は中国に向かって集中し、北京冬季五輪のボイコットを叫ぶ声が高まるだろう。

だから習近平国家主席はバッハ会長と緊密に協力し合い、何が何でも東京五輪を開催させる方向に動いていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 3

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの過激衣装にネット騒然

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 9

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 10

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中