最新記事

民主主義

バイデンの「民主主義サミット」に台湾は出席できるか

Taiwan Eyes Seat at Joe Biden's Democracy Summit Amid Warnings Out of China

2021年8月13日(金)21時58分
ジョン・フェン
蔡英文

バイデンの要請で台湾を訪れた米代表団との会談に向かう蔡英文(4月18日) Ann Wang-REUTERS

<米国が「活気に満ちた民主主義」と呼ぶ台湾には参加資格があるはず。もし中国の脅しに屈すれば、「権威主義に対抗するサミット」自体の価値が問われる>

台湾は、ジョー・バイデン米大統領が2021年末に開催すると発表した「民主主義サミット」への参加を希望している。バイデンは、大統領選挙中だった2年前から、中国やロシアに代表される権威主義国家に対抗する民主主義国のリーダーたちの会合を行うと公約していた。

ホワイトハウスは8月11日、民主主義サミットは12月9日と10日にリモートで開催されると発表した。声明によれば、政府、市民社会、民間部門のリーダーが参加し、2022年には第2回目を対面開催する予定だという。

台湾は、歴史的に緊密な米国との関係を生かし、2日間のイベントに意味ある形で参加することを希望している。バイデン政権がしばしば「活気に満ちた民主主義」と表現する台湾は、参加条件を満たしているように見える。

台湾外交部(外務省)の欧江安報道官は本誌の取材に対し、米国がわざわざ「民主主義国の」ではなく「民主主義のための」会議と呼び、より多様なグループの参加を可能にしているサミットに席を確保するため、台湾政府は懸命に努力していると述べた。

だが米国務省は、正式な招待状を送付するかどうか、その時期も明らかにしていない。

ブリンケンは台湾の出席を約束?

台湾の会議参加が正式に保証されているわけではないが、台湾の参加を示唆する兆候はいくつかある。アントニー・ブリンケン米国務長官は3月、米下院外交委員会で証言した際に、台湾の参加と、自由貿易協定の実現に向けた取り組みを約束した。

ブリンケンは台湾について、「力強い民主主義」、「世界に貢献できる国」と表現した。

事実上の駐米台湾大使である蕭美琴は2月、バイデン政権に対して、民主主義サミットで役割を果たしたいという台湾の意向を伝えたことを明らかにした。バイデンの大統領就任式にも招待された蕭は、「非常に好意的な反応」が返ってきたと話している。

8月11日に出されたホワイトハウスの声明によれば、この象徴的なサミットは、権威主義からの防衛や人権擁護といった分野で、「コミットメントとイニシアチブを喚起する」ことが目的だ。「民主主義再生の基盤をともに強化するため、民主主義が直面している課題について率直に語る」ことができる世界のリーダーたちが集うことになる。

バイデンは大統領就任後、世界中の民主主義が、権威主義の攻撃にさらされていると警告し続けてきた。バイデンはこうした政治体制の対立を、今日の国際関係を定義づける特徴だと表現している。

中国が自国の一部と見なす台湾は、中国からの独立を志向しており、しばしば自らを、拡大を続ける中国の権威主義に対抗する「最前線」だと称している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金現物、4500ドル初めて突破 銀・プラチナも最高

ワールド

イスラエル、軍ラジオを来年閉鎖 言論の自由脅かすと

ワールド

再送-ベネズエラが原油を洋上保管、米圧力で輸出支障

ワールド

豪NSW州で銃規制・ 反テロ法強化、乱射事件受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中