最新記事

オピニオン

【新型コロナ】中国の生物兵器完成を許すな

Stop China From Getting a Civilization-Killing Pathogen

2021年6月1日(火)18時40分
ゴードン・チャン(ジャーナリスト、作家、弁護士)
SARS-CoV-2

新型コロナウイルスは「武漢ウイルス研究所から流出した」説が再燃している NIAID-RML/Handout via REUTERS

<米バイデン政権が行うべきは新型コロナウイルスの起源に関する追加調査ではなく中国への制裁だ>

ジョー・バイデン米大統領は5月26日に発表した声明の中で、米情報機関に対して、新型コロナウイルスの起源についての「情報の収集および分析」を行い、90日以内に報告するよう求めたことを明らかにした。

だがアメリカはそれよりもまず、同ウイルスの起源に関する機密情報を公開すべきだろう。情報機関による評価はその後でいい。アメリカには既に、中国政府に重大な代償を求めることができるだけの十分な証拠があるし、抑止力を確立するためにもそうするべきだ。

バイデンの声明が発表されるわずか数時間前、CNNは、マイク・ポンペオ前国務長官が立ち上げた米国務省軍備管理・検証・遵守局による同様の調査が打ち切られていたと報じていた。国務省はこの報道を否定し、作業の「質」には懸念があったものの、調査は完了したのだと主張した。CNNの報道は、調査は実際には完了していなかったと示唆している。

ワシントン・タイムズ紙は、国務省による調査は「中国の怒りを買うのではという懸念から」打ち切られたと報じた。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙はバイデンが追加調査を命じる数日前(23日)に、中国・湖北省武漢市にある武漢ウイルス研究所の研究者3人が、2019年11月に入院していたと報じていた。3人には、「新型コロナウイルス感染症の症状とも、一般的な季節性の疾患の症状ともみえる」容体だったということだ。

「中国との協力」は可能なのか

武漢ウイルス研究所の袁志明室長は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道は「真っ赤な嘘」だと否定。だが同紙の報道をきっかけに、ウイルスの起源に関する議論が再燃した。新型コロナウイルス危機について、可能な限り中国と協力すべきだと考えているバイデン政権にとって、ウイルスの起源を追跡することはことさら重要な意味を持つ。

新型コロナウイルス感染症が動物原性感染症(つまり動物からヒトに感染した病気)であり、中国政府が国際社会と共にそれを封じ込めるために最大限の努力をしてきたのであれば、中国と協力するのは適切な策だろう。しかしながら、同ウイルスが中国の研究所に保管されていた――もっと言えば生物兵器だった――もので、中国がその起源を隠そうとしたのであれば、彼らとの協力は論外だ。

ウォルター・リード陸軍研究所ウイルス感染症部門の元研究室長で微生物学者のショーン・リンは、本誌に対して、これまで誰も新型コロナウイルスの保有宿主を見つけることができておらず、動物からヒトへの感染経路も特定できていないと説明した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英政府、中国大使館建設計画巡る決定を再び延期 12

ビジネス

米銀、アルゼンチン向け200億ドル融資巡り米財務省

ワールド

インド、すでにロシア産石油輸入を半減=米ホワイトハ

ワールド

マレーシアGDP、第3四半期速報は前年比+5.2%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中