最新記事

育児休暇

「俺だって家事やってる」「なんでそういうことするの!」 夫が絶句する夫婦のかみ合わなさを証明したデータとは?

2021年5月30日(日)14時00分
前田晃平(マーケター/認定NPO法人フローレンス 代表室) *PRESIDENT Onlineからの転載

私は2カ月間、妻は9カ月間の育休ののち、二人とも元の職場に復帰しました。相変わらず夫婦喧嘩は定期的に勃発していますが、私が育休を取った2カ月間で、妻とは子育てのパートナーとしての信頼関係もできました。子育てという試練はこれからの方が圧倒的に長いわけですから、パートナーとの信頼関係は何よりも大切。育休はそれを築く最高のチャンスです。

急低下した夫への愛情が戻るケース、地に落ちるケース

「育休はパートナーとの信頼関係を築く最高のチャンス」というのは、実際に私が体験して感じたことです。でも、より正確に言うと、「育休はパートナーとの信頼関係を築く"ほぼ唯一の"チャンス(子どもがいる場合)」です。ここを逃したら、後がないんです。同胞たる男性諸君、これは本当に大事な話だから、どうか忘れないでほしい......‼

図表1は、東レ経営研究所が発表した「女性の愛情曲線」です。女性の愛情の配分がライフステージごとにどのように変わるのかを表しています。結婚直前までは、彼氏、そして夫たる我らが名実ともに妻にとってナンバー1の存在です。ところが、妊娠を機に私たちのプレゼンスが凄まじい勢いで低下していきます。理由は見ての通り、子どもが取って代わるからです。まあ、これは百歩譲って仕方ないとしましょう。

女性の愛情曲線のグラフ

しかし問題は、その後の推移です。「出産直後」から2つに分岐しています。V字回復するパターンと、地を這うように落ちていき、最後にはほとんどゼロ(!)になるパターン。この運命を分けるものはなにか......?

それは、妻の出産直後に夫が家事育児にコミットしたかどうか、です。ちなみに、この期間を逸するとその後の挽回は極めて困難とのこと。

私の同僚の女性は、もう何年も前になるこの時期の夫氏の振る舞い(曰く、あの野郎、私が陣痛で苦しんでいる間に、散髪に行きやがった‼)について、未だに腹を立て続けています。飲み会でその話を聞く度に、背筋にヒヤッとしたものが走ります。

「俺だって頑張ってるんだ」論争

男性育休を取ろうという人なら、程度の差こそあれ、家事育児をそれなりに頑張ろうと決意していることでしょう。私だって、そのつもりでしたとも。でも、本人目線の頑張ってる度と、実際にやれている度は、残念ながら違います。我が家でも「俺だって頑張ってるんだ」論争が勃発しました。

「家事も育児も、もう少し分担してくれないと、私が復職したら立ち行かなくなる」。こう宣言した妻に対し、「もう十分やってるでしょ!」と反論しました。だって、俺は頑張ってる! お皿だって洗ってるし、お風呂だって掃除してる! おむつだって替えてるぢゃないか‼ 侃々諤々の議論の末、お互いが担当する家事育児をすべてリストアップすることになったのですが......。

"やってるつもり"だったと思い知った瞬間

なんということでしょう! 「ちゃんとやってる」と信じて疑わなかった私のタスクより、妻が粛々と行っているタスクの方が、ぶっちぎりで多いではありませんか。私の目に入っていなかった家事育児が山のようにあったのです。例えば、娘の爪切りとか、おむつや衣類のセレクト及び購入とか、赤ちゃんの肌に優しいシャンプーや石鹼探しとか、離乳食の献立を考えるとか、保育園の調査とか......。私は途中から「もう勘弁してください」ってなってました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中