最新記事

中東

エルサレムでイスラエル警察とパレスチナ人が衝突 2日で数百人負傷

2021年5月10日(月)10時51分

エルサレムの旧市街近くで8日、パレスチナ人のデモ隊とイスラエルの治安部隊が衝突し、少なくとも80人が負傷したもようだ。写真は、旧市街にある岩のドーム前で祈るパレスチナ人。2021年5月8日に撮影。(2021年 ロイター/Ammar Awad)

パレスチナ人とイスラエル人の居住地を巡る緊張が高まるエルサレムの旧市街近くで8日、パレスチナ人のデモ隊とイスラエルの治安部隊が衝突し、少なくとも80人が負傷したもようだ。前日にも市内で同様の衝突が起きており、負傷者は数百人に上っている。

8日はイスラム教のラマダン(断食月)の聖夜に当たり、旧市街にあるアルアクサ・モスクには数万人が礼拝に訪れていた。

旧市街に続く道のバリケードを突破するパレスチナの若者に対し、イスラエルの治安部隊はスタン擲弾や放水銃で制圧に当たった。

パレスチナ赤新月社によると、負傷者には子どもも含まれ、14人が病院に搬送された。イスラエル警察は、少なくとも警官1人が負傷したと発表した。

パレスチナのガザ地区では、イスラエルとの境界沿いにパレスチナ人のデモ隊数百人が集まり、イスラエル軍によると、火のついたタイヤや花火が同軍に向けて投げ込まれた。

また、ガザの兵士がイスラエル側に向けて少なくともロケット弾1発を発射したが、空き地に着弾したという。

7日には、エルサレム旧市街にあるユダヤ教とイスラム教の聖地、神殿の丘で、投石するパレスチナ人の若者らにイスラエルの治安部隊がゴム弾やスタン擲弾を発射。少なくとも、パレスチナ人205人、イスラエルの警官18人が負傷していた。

東エルサレムのシェイク・ジャラ地区でも、強制退去に抗議するパレスチナ人と治安部隊との衝突が連日起きている。

中東和平に取り組む米国、ロシア、欧州連合(EU)、国連の4者はエルサレムからのパレスチナ人強制退去を巡る対立激化に懸念を表明した。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は声明で、エルサレムでの法と秩序は礼拝の権利とともに維持されると述べた。

今後数日間、エルサレムでの緊張は続く可能性が高い。週明け10日にはイスラエル最高裁がシェイク・ジャラ地区の強制退去を巡る審理を開く予定で、この日は1967年の中東戦争でイスラエルが東エルサレムを取り戻した「エルサレム・デー」と重なる。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中