最新記事

デジタル化

日本だけじゃない...「デジタル後進国」のお粗末過ぎるコロナ対策

2021年4月13日(火)17時10分
ニューズウィーク日本版編集部
菅義偉、新型コロナウイルス

ワクチン接種が遅れるなか、日本各地で再び感染が拡大し始め、出口は一向に見えてこない David Mareuil-Pool-REUTERS

中国が新型コロナウイルスを完全に抑え込めているのは、「デジタル監視国家」だからなのか。だとすれば、日本はそこから何を学べるのか――。

その疑問に答え、示唆を得るべくデータ共産主義の「正体」に迫ったのが、4月13日発売の「日本を置き去りにする デジタル先進国」特集(2021年4月20日号)。

だが中国に限らず、このコロナ禍は世界各地で国レベルの「デジタル力」を問う試金石となっている。

日本がデジタル化に遅れていることは言わずもがなだが、ほかには例えば、どこが「デジタル後進国」なのか。

接触確認や感染経路追跡、ワクチン接種証明......。コロナ禍で露呈した「落第生」を4カ国選び、その混乱ぶりを紹介する。

アメリカ

2020年の世界デジタル競争力ランキング第1位だが、州により対応が異なる上、政治的社会分断の影響もあり混乱が続く。

接触確認アプリは州ごとに開発。現在はワクチン接種歴を示す「ワクチンパスポート」が議論され、保守派はプライバシーへの懸念から反対している。

州としては初めてニューヨーク州が3月末に導入したが、共和党知事のフロリダ、テキサス両州ではパスポート義務付けを禁止。

連邦政府も「証明書の携行を義務付ける制度は支持しない」と表明した。

フランス

昨年6月に接触確認アプリを開発したが、人口の5%未満しかインストールせず失敗。

デジタル追跡は「フランス文化に合わない」と当時の担当大臣自ら発言するほどだ。

多くのEU諸国は接触確認のデータを「分散型」で管理するが、フランスでは政府が一括管理。個人が特定されないよう匿名化されるが、プライバシーをめぐる議論を呼んだ。

10月にはアプリを改良し、外出禁止免除証明書へのリンクを付けるなど利便性が向上したが、果たして――。

ハンガリー

コロナ禍を最も「悪用」した指導者の1人であるオルバン首相は昨年3月末、首相権限を無制限に拡大した。

5月には非常事態宣言中のデータ保護と情報アクセスを制限し、個人情報保護を定めたEUの「一般データ保護規則(GDPR)」に反する政令も出していた(批判を受け、6月に制限解除)。

5月に接触確認アプリをリリース、10月末からは入国の際に隔離アプリのインストールが義務付けられたが、個人情報の扱いに対する懸念は今も拭えない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、温室効果ガス40年に90%削減を提案 クレジ

ビジネス

物価下振れリスク、ECBは支援的な政策スタンスを=

ビジネス

テスラ中国製EV販売、6月は前年比0.8%増 9カ

ビジネス

現在協議中、大統領の発言一つ一つにコメントしない=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 8
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中