最新記事

デートアプリ

「デートアプリはライフライン」のコロナ禍、英国でロマンス詐欺被害が増加

2021年2月18日(木)19時00分
松丸さとみ

「一人暮らしの人にとってデートアプリはライフライン」...... Georgijevic-iStock

<英国では、ロックダウン以後、オンライン・デートをする人が急増。それに伴いロマンス詐欺が暗躍する機会も増えている......>

2020年の英国での被害総額は100億円以上

新型コロナウイルスの流行によるロックダウンで、出会いをオンラインに求める人の増加に伴い、英国やオーストラリアではロマンス詐欺の被害が拡大している。金融機関の業界団体などは、直接会ったことがない相手から金品の送付を求められても、応じないよう呼びかけている。

英ロンドン市警察などが運営する、詐欺やサイバー犯罪を通報するコールセンター「アクション・フロード」によると、2020年に通報されたロマンス詐欺の被害総額は、6800万ポンド(約100億円)以上に達した。

また、英国の金融業界団体UKファイナンスは、同団体のデータとして、2020年1月〜11月のロマンス詐欺の被害総額は1850万ポンド(約27億円)となり、前年から12%増加したと発表した。一人当たりの平均被害額は、7850ポンド(約115万円)。銀行振り込みによる被害額のみをみると、前年比20%増だった。

ロマンス詐欺とは、主にオンラインで相手に自分を恋人などと思い込ませ、金銭をだまし取る詐欺の一種だ。銀行から送金させる手口だけにとどまらず、商品券を送らせたり、携帯電話、ラップトップなどをプレゼントさせたりといった手口もある。また、銀行口座やカードを使わせて被害に遭ったケースもあるという。

主に55〜64歳がターゲット

英国では2020年3月、新型コロナウイルスの流行を受けて最初のロックダウンが行われた。これを機に、オンライン・デートをする人が急増。英国のオンライン・デート・サービス業界団体オンライン・デーティング・アソシエーション(ODA)によると、2020年の最初のロックダウン中、デートアプリのユーザー数は全英で230万人に達した。

ODAが行った調査によると、回答者の64%が、「一人暮らしの人にとってデートアプリはライフライン」と考えていることが分かった。また53%が、ロックダウン中はオンライン・デート・サービスで人と話す時間が増えたと答えた。

オンライン・デートを楽しむ人の増加に伴い、ロマンス詐欺が暗躍する機会も増えている。

英ロイズ銀行が算出したデータによると、ロマンス詐欺のターゲットになっているのは55〜64歳が多い。同行のポール・デイヴィス氏は英インディペンデント紙に対し、詐欺師はこの道のプロなので、時間をかけて信頼関係や人間関係を築き、説得力のある物語を展開してくると警告する。

UKファイナンスによると、ありとあらゆる方法を使って、相手に本物の恋愛関係だと信用させた後、治療費が必要だとか、会いに行くために旅費が必要だなどとさまざまな理由を付けて、金銭を送らせるのだという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中