バイデン政権は温暖化対策へ総力戦の布陣 省庁ごとの戦略まとめ
財務省
財務省では、金融規制改革法(ドッド・フランク法)を利用して、銀行その他の金融機関に対し、投資の際に気候関連リスクを織り込むよう義務付けるかもしれない。そうなれば民間投資の大きな流れがクリーンエネルギーに向かうだろう。また、連邦政府による対外融資プログラムに関して、国外での高炭素プロジェクトへの投資を禁じるような基準を財務省が創設する可能性がある。
オバマ政権下でホワイトハウスの「環境の質に関する審議会」座長を務め、バイデン氏の政権移行チームでも気候変動対策に向けた連邦機関活用のためのロードマップ「クライメート21」(https://climate21.org/)の共同執筆者となったクリスティ・ゴールドファス氏は、「財務省は今後、気候変動問題に関してかなり重要なプレイヤーになっていくと考えている」と話している。
農務省
農業は米国の温室効果ガス排出量のうち9%を占めている。反面、やはり農務省の管轄である国内の森林地域は、化石燃料による年間排出量の最大15%を吸収している。農務省は排出権制度を通じて、排出量の削減・相殺に寄与している農家、酪農家、森林所有者に給付を行うことが可能だ。またバイデン氏に助言している政策専門家によれば、農務省は「気候変動に配慮した農業」の促進に向けて農作物保険を活用することもできるという。
教育省
教育省は、気候変動に関する意識向上をめざす専門教師・講座に対して連邦政府の財源を回すことができる。また、その調達能力を活かして、通学バスへの電気自動車導入や学校建築の環境最適化を支援することもできる。
オバマ政権で教育長官を務めたジョン・キング・ジュニア氏は、「K-12(幼稚園─高校)レベル、また高等教育機関において、再生可能エネルギーや建築物の改良、電気自動車やインフラといった分野での就業につながる専門教育に新たな投資を行うチャンスもたくさんあるのではないか」と語っている。
司法省
司法省で環境関連の法執行を担当する弁護士を務めていたケイト・コンシュニック氏によれば、司法省は新政権の気候変動対応政策をめぐる訴訟で被告の立場に立たされることになるが、その一方で、連邦政府を当事者とする気候問題に関わる民事訴訟を優先する、環境汚染企業との和解に向けて補助的な気候対策プロジェクトを提案する、大企業に対する法執行活動を強化するといった動きもありうるという。
またバイデン氏は、気候変動対策の計画のなかで、気候変動・環境関連の司法活動を優先すべく、司法省内に環境・気候問題担当部門を創設すると述べている。
(翻訳:エァクレーレン)
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