最新記事

香港

香港民主派53人の一斉逮捕をバイデン次期米政権が非難「中国の民主主義締め付けに反対する」

Blinken Signals Biden Admin Will Take on China Over Hong Kong Crackdown

2021年1月7日(木)16時00分
ジョン・フェン

アメリカ人弁護士のジョン・クランシーは国安法違反で逮捕された初めての外国人かもしれず、米中関係の新たな火種になりそうだ REUTERS/Lam Yik

<逮捕者の中には米国人弁護士も含まれ、米中関係の次の火種になる可能性もある>

次期米国務長官に指名されているアントニー・ブリンケンは、香港当局が1月6日朝に民主派の前議員や活動家53人を逮捕したことを非難。ジョー・バイデン次期米政権は香港の人々を支持し、中国による「民主主義の締め付け」に反対すると表明した。

民主派の53人は、中国政府が2020年6月に施行した「香港国家安全維持法」に違反したとして逮捕された。

「民主派活動家たちの一斉逮捕は、普遍的権利を求めて声をあげた勇敢な人々に対する攻撃だ」とブリンケンはツイッターに投稿。「ジョー・バイデンとカマラ・ハリスが率いる米次期政権は香港の人々を支持し、中国による民主主義の締め付けに反対する」と述べた。

6日の一斉取り締まりでは、現地の法律事務所、何謝韋律師事務所で働くアメリカ人弁護士のジョン・クランシーも逮捕された。香港国家安全維持法の下で、香港のパスポートを持たない外国人が逮捕されたのは、これが初めてかもしれない。同法は国家分裂、政権転覆、テロや外国勢力と結託する行為を禁じており、違反した場合の最も重い処罰は終身刑と定められている。

クランシーの逮捕は、米中間の外交における新たな火種となる可能性がある。ドナルド・トランプ米大統領と中国政府はこれまでにも衝突を繰り返しており、米中関係は既に緊張状態にある。

「必要な措置だった」と保安局長

香港保安局の李家超(ジョン・リー)局長は今回の一斉逮捕について、民主派が2020年7月に立法会選挙に向けて非公式な予備選挙を実施したことに関連する容疑だと地元メディアに説明した。

民主派が独自に実施したこの予備選は、2020年9月に予定されていた香港立法会選挙に向けた候補を選出するためのものだった。全70議席を争うこの選挙で、民主派は(実現の可能性は低かったものの)過半数の議席獲得を目標としていた。クランシーは、60万人の有権者が参加したと報じられたこの非公式な予備選を手伝っていた。

香港政府はその後、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に、9月に予定していた立法会選挙を1年延期すると発表。これに先立ち、香港政府および中国政府に敵対的な政治的見解を掲げたとして、民主派議員12人の立候補資格の取り消しを決定。これに抗議して、残りの民主派議員が一斉辞職した。

香港保安局の李は、6日朝の一斉取り締まりは「必要な措置」だったと主張。予備選に関与した者たちは香港政府を「転覆させる」ことによって、「香港を機能停止状態に」陥らせようとしたと説明した。李はさらに、取り締まりの対象としたのは「今も活発に活動している人物」だけであり、有権者を逮捕することはないとつけ加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:戦略投資、次期中計で倍増6000億円

ワールド

トランプ氏、イスラエル首相と来週会談 ホワイトハウ

ビジネス

ロビンフッド、EU利用者が米国株を取引できるトーク

ワールド

トランプ氏、シリア制裁解除で大統領令 テロ支援国家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中