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中国政府、少数民族弾圧はウイグルに留まらず 朝鮮族の学校からハングルを抹消へ

2020年11月24日(火)21時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

ユネスコは見て見ぬふり?

中国語教科書への変更が発表されて以降、この制度へ反対の声を上げた人たちもいる。韓国の活動団体「サイバー外交使節団バンク」は、全世界に約4億人の会員をもつアメリカのオンライン請願サイトchange.orgへ請願提出し、外国人へアプローチする作戦に出た。

さらに、バンクは、国連の教育科学文化機関(ユネスコ)に対し、中国の少数民族教育政策について、もっと声を上げるべきだと要求している。

バンクの主張によると、ユネスコは分担金を一番多く拠出している中国政府に忖度して、少数民族への言語の同化政策について見て見ぬふりをしているという。

モンゴル族も米国で世論に訴え

一方で、モンゴル族の人々も自分たちのアイデンティティである言語の消滅を危惧し、立ち上がっている。今年9月、米国ホワイトハウスのオンライン請願サイトに「Stop the CCP's cultural genocide in Inner Mongolia(中国共産党による、内モンゴル地区での文化虐殺を中断せよ)」というタイトルの請願がアップされた。

そこには、「私たちモンゴル族は、米連邦政府が議会で、この問題に対する法律を制定するように要求します」と書かれている。この請願は9月7日に掲載され、その15日後にはすでに10万人以上の賛同を得ることに成功した。

また、中国国内でも、モンゴル族によるデモも行われたが、その際には130人の逮捕者を出す結果となってしまった。

少数民族の人々にとって言語は誇りであり、先祖と自分を繋げる大事な宝物である。今回のように、これまであった選択肢を取り上げてしまう政策は行うべきではない。自分が何語を使うか、勉強するかは本来自由であり、それを奪うということは、言語という文化を抹殺する暴挙だ。

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