最新記事

韓国

韓国超エリート大教授、自動運転の特許を中国へ横流し? 金にもの言わせ研究者集める中国「千人計画」とは

2020年10月9日(金)14時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

KAISTは内部調査したものの

韓国メディアKBSの報道によると、請願が投稿された後、KAISTは内部調査して、報告書を提出していた。そこには、イ教授が中国の研究チーム立ち上げから関わっていた事実と、千人計画に参加している事実を確認してはいるが、研究内容には触れることもなく、「調査結果:問題なし」と結論が記されている。

さらに、KAISTは、本来学内ウェブサイトで見られるはずの校内ニュースレター(2017年秋号)を急遽削除している。この号にはイ教授が千人計画に選出されたという記事が掲載されていたという。大学側は本当に何も知らなかったのか、もしくは調査が甘かったのではないかと、KAISTの責任を非難する声が高まっている。

イ教授をめぐるさまざまな疑惑

さらに別の疑惑として、当時イ教授もKAIST側に嘘の供述をしていたのではないかという話もある。それによると、イ教授は大学に対して、中国で自動運転車センサーLiDARではなくG5の研究を行うと申告していたそうだ。

それに加え、大田地検はイ教授が、大学所属センター運営費を受け取るため虚偽の書類を提出したとし、さらに研究に参加していない研究員への架空の賃金支給まで申請して2000万ウォンを騙し取った疑いも提起しているなど、現在さまざまな疑惑が噴出している状態だ。

海外に優秀な人材がいるのなら好待遇で呼び寄せればいい、という大胆な発想の千人計画。優秀な技術者の争奪戦は、今後もっと激しく繰り広げられるだろう。

世界規模で考えると、お金のある国が優秀な技術者に手厚いケアと研究資金を出すなら、科学技術のさらなる発展に繋がる気もするが、今回の例のような所属大学の特許が流出してしまうという技術漏洩は大きな問題だ。

優秀な人材が集まっている分、これからも同様の問題が発生する可能性は高く、KAISTそして韓国政府は見て見ぬふりをしている場合ではない。今後の再発防止対策を練る必要があるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英財務相、11月26日に年次予算発表 財政を「厳し

ワールド

金総書記、韓国国会議長と握手 中国の抗日戦勝記念式

ワールド

イスラエル軍、ガザ市で作戦継続 人口密集地に兵力投

ビジネス

トルコ8月CPI、前年比+32.95%に鈍化 予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中