最新記事

東京五輪

電通、東京五輪招致へ巨額の寄付とロビー活動 中立性求めるIOCの規定に抵触か

2020年10月15日(木)17時49分

オリンピック・パラリンピックの東京招致をめぐり今なお国際的な贈収賄疑惑の捜査が続く中、大手広告代理店の電通が東京招致活動に6億円を超す寄付をするなど、「中立性」を求めるIOCの規約に抵触しかねない関与を行っていたことがロイターの取材でわかった。写真は電通のロゴ。2012年7月、都内で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

2013年に決まったオリンピック・パラリンピックの東京招致を巡り、今なお国際的な贈収賄疑惑の捜査が続く中、大手広告代理店の電通が東京招致活動に6億円を超える寄付をするなど、「中立性」を求める国際オリンピック委員会(IOC)の規約に抵触しかねない関与を行っていたことがロイターの取材でわかった。

ロイターが閲覧した銀行記録によると、電通は2013年、東京五輪招致委員会の口座に約6億7000万円を寄付として入金した。さらに、日本陣営を代表する形で、開催都市決定への投票権を持つ一部のIOCメンバーに対するロビー活動を主導した、と招致委のロビー活動に関与した複数の関係者がロイターに話した。

電通グループ<4324.T>で広告代理店事業を手掛ける電通はIOCとの長年の取引を背景に、国際的なスポーツイベントに関わってきた。IOCは招致活動の公平性と中立性を確保するため、利益相反を防止する行動規約(第10条)を設け、グローバルなスポンサーやマーケティングパートナーに特定の都市に対する支援や宣伝を控えるよう求めているが、東京の招致活動に対する電通の積極的な後押しはIOCのガイドラインを逸脱していた可能性がある。

ロイターの取材に対し、電通は自社の活動がIOCのガイドラインに抵触してはいないとの認識を示した。同社は「同委員会の求めに応じ、その都度、助言をしたり、情報提供をしていた」と回答、招致活動への関与は通常業務の範囲を超えていないとしている。

IOC側には「大人の理解」

電通はIOCのみならず、ワールドアスレティックス(世界陸連。国際陸上競技連盟が改称)、国際水泳連盟、国際サッカー連盟など世界の競技団体や著名な選手との間に太い人脈と取引関係を持ち、スポーツ関連ビジネスは同社の経営を支える基幹事業の1つだ。

自国開催となる東京五輪大会が同社にとって巨大なビジネスチャンスであることは言うまでもない。東京開催の決定後、同社は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会からマーケティング専門代理店に任命された。

以来、同社は東京大会の企画や宣伝活動の中心的な役割を果たす一方、各企業からすでに3000億円以上のスポンサー料を集めるなど、五輪開催への関与を一段と強めている。

東京招致委員会に行った寄付について、電通は「招致委員会による財界各社に求められた支援要請に対し、適切な社内手続きを行った上で寄付をした」と寄付の事実は確認した。しかし、金額の特定や資金の使途については明確にしなかった。

電通の関わりについて、IOCは、東京陣営が招致活動を行っていた2011年から13年の間、「電通はIOCのマーケティングパートナーではなかった」と語った。また、IOCによると、「(電通は)どの都市の招致にも関連しないサービスを提供するためにIOCと契約していた」という。

しかし、ロイターが閲覧した記録によると、日本オリンピック委員会(JOC)の第三者委員会が2016年、招致決定をめぐる贈収賄疑惑に関連する調査の一環として、電通幹部への聞き取りを実施。その中で、電通のスポーツ事業を統括していた中村潔執行役員は、招致が行われていた当時、同社がIOCのマーケティングパートナーであったと証言している。

同氏は調査の中で、東京招致委との協力における電通の役割について、IOC側には「大人の理解」があったと回答。さらに、それに関してIOCが「表には出てくるなと言っていた」ことも明らかにした。

また、中村氏は第三者委に、IOC委員の情報を招致委に提供したと証言。同氏は「電通が一番知っている」、「日本のためになればとも思っていた」として、対価なくこうした情報を提供したとしている。

ニュース速報

ビジネス

ビットコイン6万ドル超え最高値に接近、発掘通貨の供

ワールド

アングル:ミャンマー製衣料品、コロナとクーデターで

ビジネス

アングル:米金融業界、富裕層増税ならニューヨーク離

ワールド

米最高裁判事の増員検討へ、バイデン氏が大統領令で委

MAGAZINE

特集:岐路のビットコイン

2021年4月13日号(4/ 6発売)

大企業や金融大手が次々と参入を開始。膨らみ続けるバブルははじけるのか、それとも?

人気ランキング

  • 1

    緑豊かな森林が枯死する「ゴーストフォレスト」が米国で広がっている

  • 2

    「頭の切れる人」とそれほどでもない人の決定的な差 いきなり考えても決してうまくいかない理由

  • 3

    ハリー&メーガンは? 黒い服にタイツ...フィリップ殿下の死去で適用される英王室の厳格な規定

  • 4

    「日本のお金で人殺しをさせないで!」ミャンマー国…

  • 5

    今年のアカデミー賞候補はハズレなし! 一方で過去…

  • 6

    メーガン妃のまことしやかな被害者談に惑わされるな

  • 7

    北米からシカの狂牛病=狂鹿病が、世界に広がる......

  • 8

    洪水でクモ大量出現、世界で最も危険な殺人グモも:…

  • 9

    ヘンリー王子の葬儀参列を妨げる壁 「メーガンは彼の…

  • 10

    硬貨大のブラックホールが地球を破壊する

  • 1

    太平洋上空の雲で史上最低気温、マイナス111度が観測される

  • 2

    カミカゼ・ドローンで戦況は一変 米軍「最強」の座も危うい

  • 3

    硬貨大のブラックホールが地球を破壊する

  • 4

    アマゾンに慣れきった私たちに、スエズ運河の座礁事…

  • 5

    緑豊かな森林が枯死する「ゴーストフォレスト」が米…

  • 6

    北米からシカの狂牛病=狂鹿病が、世界に広がる......

  • 7

    洪水でクモ大量出現、世界で最も危険な殺人グモも:…

  • 8

    ビットコイン:規制は厳しくなる、クレジットカード…

  • 9

    こんなに動いていた! 10億年のプレートの移動が40秒…

  • 10

    「パパ活」はドイツでは通用しない 若いだけで女子を…

  • 1

    太平洋上空の雲で史上最低気温、マイナス111度が観測される

  • 2

    観測されない「何か」が、太陽系に最も近いヒアデス星団を破壊した

  • 3

    国際宇宙ステーションで新種の微生物が発見される

  • 4

    「夜中に甘いものが食べたい!」 欲望に駆られたとき…

  • 5

    30代男性が急速に「オジサン化」するのはなぜ? やり…

  • 6

    EVはもうすぐ時代遅れに? 「エンジンのまま完全カー…

  • 7

    孤独を好み、孤独に強い......日本人は「孤独耐性」…

  • 8

    ブッダの言葉に学ぶ「攻撃的にディスってくる相手」…

  • 9

    カミカゼ・ドローンで戦況は一変 米軍「最強」の座…

  • 10

    硬貨大のブラックホールが地球を破壊する

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月