最新記事

米司法

トランプ、ギンズバーグ最高裁判事の後任25日にも発表 選挙前の承認目指す

2020年9月22日(火)11時30分

トランプ米大統領は21日、18日に死去したルース・ギンズバーグ最高裁判事の後任を早ければ25日に発表すると明らかにした。ワシントンの米最高裁前で18日撮影(2020年 ロイター/ALEXANDER DRAGO)

トランプ米大統領は21日、18日に死去したルース・ギンズバーグ最高裁判事の後任を26日までに発表する方針を示した。大統領選前の最高裁判事人事を巡っては、野党民主党が反対しているほか、共和党内からも一部で消極的な声が上がっているものの、トランプ大統領は選挙前に議会での指名承認採決に持ち込みたい考えだ。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、検討している候補5人のうち1─2人に絞りつつあることを明らかにした。共和党が多数派の上院に対し、指名承認採決を11月3日の大統領選前に実施するよう呼び掛け、「選挙前に採決を実施したい。時間は十分にある」と述べた。

最高裁判事候補の中では、シカゴに本部を置く第7巡回区控訴裁のエイミー・コニー・バレット氏と、アトランタに本部を置く第11巡回区控訴裁のバーバラ・ラゴア氏の2人の女性判事が最有力となっている。両氏とも、トランプ氏が連邦控訴裁判事に昇格させた保守派の判事だ。関係筋によると、トランプ氏は21日、ホワイトハウスでバレット氏と会談した。

トランプ氏が後任候補を今週発表すれば、来週に予定されるギンズバーグ判事の遺体埋葬の前となる。

ギンズバーグ氏の遺体は23日と24日、一般弔問のために最高裁に安置され、25日には議会議事堂内に移され、葬儀が行われる予定。

実現すれば、トランプ大統領による最高裁判事の指名は3人目。保守派判事はリベラル派に対し6対3の割合となり、最高裁の保守化が進む。

上院では53対47で共和党が過半数を占めており、指名承認を阻止するには少なくとも4人の造反が必要となる。

共和党のマコネル上院院内総務は、後任判事の指名承認手続きを急ぐ構えを示しているが、同党のスーザン・コリンズ、リサ・マカウスキ両上院議員は週末、選挙前の指名承認採決に反対を表明した。

民主党は、共和党のチャック・グラスリー、コリーガーデナー両上議員からも同様の反対表明を期待していたが、両氏は21日、トランプ氏が指名する判事候補の速やかな承認を支持する意向を示した。

民主党はまた、トランプ氏と対立したことのあるミット・ロムニー氏が造反者になる可能性があるとみているが、ロムニー氏はこの日、最高裁判事の人事を巡る質問にコメントを控えた。

民主党のシューマー上院院内総務は、採決は来年に実施すべきだと指摘。「それがギンズバーグ判事の遺言だった。おそらく上院の唯一で最後の望みでもある」と語った。

民主党の大統領候補であるバイデン前副大統領も前日、大統領選前の最高裁判事人事を「政治的な実力行使」と非難し、上院共和党は大統領選が迫る中で承認手続きを行うべきではないと訴えた。

*内容を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?


20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

赤沢氏「合意の結論に直ちに結びつかず」、対米交渉を

ワールド

ロサンゼルスで移民の抗議活動、トランプ政権が州兵派

ワールド

コロンビア大統領選の候補者、銃撃される 容疑者逮捕

ビジネス

CPIや通商・財政政策に注目、最高値視野=今週の米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 6
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 7
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 8
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 9
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 10
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中