最新記事

米中対立

トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

2020年8月10日(月)08時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

TikTokの創始者は、中国では売国奴呼ばわりもされている Florence Lo-REUTERS

6日、トランプはTikTokなど中国IT大手との取引を禁止する大統領令を出したが、TikTok創始者は、実はアメリカ礼賛が激しく中国のネットでは売国奴呼ばわりされていた。米中双方の真相を読み解く。

トランプ大統領がTikTokなど中国IT大手との取引禁止大統領令に署名

8月6日、トランプ大統領は安全保障上の脅威だとして、動画投稿アプリTikTok(ティックトック)を運営する「北京字節跳動科技(ByteDance、バイトダンス)」との取引を45日後から禁止するとの大統領令に署名した。中国の会員制SNS「微信(WeChat、ウィチャット)」を運営する中国のIT大手、騰訊(テンセント)との取引も禁止するとした。

TikTokを巡っては、トランプ氏がバイトダンスに対し、アメリカにおける事業をアメリカ側に売却しなければ、9月15日に利用を禁止するとしている。売却する相手としてはマイクロソフトの名が挙がっている。

8月4日のロイター電によると、なんとトランプはTikTokのアメリカ事業売却に関して、売却益の「分け前」を米政府が得るべきだと主張しているという。なぜなら大統領令を出したからこそ買収することができるのだからという、これはこれですごい論理だ。

TikTokに関しては、アメリカ政府は2019年12月、TikTokによる国家安全保障上のリスクを懸念し、アメリカ陸軍、アメリカ海軍、アメリカ空軍、アメリカ海兵隊と沿岸警備隊に対して、政府支給の端末でのTikTokの使用を禁止した。これは軍独自の禁止令に近かった。

このたびの大統領令は軍レベルではなく、一般のアメリカ国民に対する禁止令だ。

トランプが激怒し、かつTikTokの「威力」を思い知らされたのは、6月20日夜にオクラホマ州タルサで開いた大統領選に向けた選挙集会の会場で空席が目立ったためだったと複数のアメリカメディアが論じている。

選挙集会の様子に関しては、たとえば6月22日のForbes JAPANの記事「K-POPファンがトランプの集会を妨害、TikTokでいたずらが拡散」に詳しい。

トランプ陣営は開催前に「100万人を超えるチケットの申し込みがあった」と豪語していたのだが、実際にはわずか6200人しか集まらなかったことで、トランプは大恥をかいてしまった。トランプ陣営は翌日の声明で、数万人のTikTokユーザーやK-POPファンらが、集会を妨害する目的で偽の電話番号を用いて席を予約していたと述べた。

つまりTikTokを通した「いたずら」だったというのだから格好がつかない。

またトランプ自身が2016年に大統領に当選した時、お得意のツイートが大いに貢献したと言われているので、トランプとしてはSNSが持つ「威力」を嫌というほど知っているだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英建設業PMI、1月は46.4に上昇 昨年5月以来

ワールド

ドイツ企業、政府の経済政策に低評価=IFO調査

ワールド

ビットコイン下げ止まらず、7万ドル割れ目前

ワールド

中国、国防関係者3人の全人代資格剝奪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中