最新記事

中国

安倍首相辞任表明、中国共産党系メディア「日米を離間させ、日本を取り込め!」

2020年8月31日(月)10時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

安倍首相が会見、新型コロナ対策と辞意表明(8月28日) Franck Robichon/REUTERS

安倍首相は長期政権により国際社会における日本の信頼を大いに高めたが、最後の汚点は習近平国賓来日計画だった。中国の本音も見えた今、安倍首相辞任表明を機に次期首相は習近平国賓来日中止を宣言すべきだ。

米中が対立する中、日米を離間させ、日本を取り込め:中国共産党系メディア「環球時報」

8月28日午後2時過ぎに、安倍首相の辞任表明ニュースが日本で報道されると、中国のネットは速報で伝え、5時からの記者会見はライブでネット配信するという重要視ぶりだった。

しかし29日早朝に中国共産党機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」電子版「環球網」が発表した社評(社説)「安倍執政を回想する 中日関係の複雑さを体験」は、実に辛辣で中国の野心を丸出しにしたものだったことに注目しなければならない。

同紙は冒頭で「多くの中国人は安倍が嫌いだ。最大の原因は2013年に靖国神社を参拝したからであり、日本の平和憲法第九条を改正する動きを進めていたからだ」とした上で、以下のようなことを書いている。

1.しかしその後さまざまな起伏があり、ここ2年間ほどは中日関係に関して安定する方向に動き始めた。

2.中国は大国なので、アメリカが対中包囲網を全面的に展開して中国を追い詰めようとしている今、日本のような国は、必ずわれわれ中国が味方に引き入れておかなければならない国だ。

3.日本に日中共通の利害を強く認識させること。日本はたしかにアメリカの同盟国ではあるが、しかし中国は日本の最大の貿易相手国なので、対中問題に関しては、日米関係は必ずしも鉄則のような強い必然性で結ばれているわけではない。

4.日本が、極端化するワシントンの対中政策と距離を持つように持って行き、ワシントンの対中攻撃に日本ができるだけ協力しないようにさせることは、中国にとっては非常に価値のあることである。おまけにひとたびこの方面における効果が出始めると、中国にとっての日本の意義は、日中紛争によって得られる些細な損得の意義とは比べ物にならないほどの大きな意義を持つ。

5.長い目で見れば、日本はいずれアメリカのコントロールをより受けないような外交的独立性を必ず求めるようになる。だから日米同盟が存在する下で、米中間におけるある種の戦略的バランスを保つことは日本の利益に合致し、日本にとっての唯一の道となるであろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バーツ高は行き過ぎ、経済に悪影響 中銀と協議=タイ

ビジネス

午後3時のドルは155円前半、日銀会合前に円買い戻

ビジネス

中国万科、18日に再び債権者会合 社債償還延期拒否

ビジネス

26年度賃上げスタンス、大半の支店で前年度並みとの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中