最新記事

米中関係

中国「米への報復必至」 総領事館閉鎖めぐり

2020年7月24日(金)09時34分

中国外務省の汪文斌報道官は23日、テキサス州ヒューストンの中国総領事館が知的財産を窃取しているとする米国の主張は悪意のある中傷だと非難した。写真はヒューストンの中国領事館。22日撮影(2020年 ロイター/Adrees Latif)

中国外務省の汪文斌報道官は23日、テキサス州ヒューストンの中国総領事館が知的財産を窃取しているとする米国の主張は悪意のある中傷だと非難した上で、米国の対応は両国関係を激しく損なうもので、報復は必至と表明した。ただ、報復の具体的な内容には言及しなかった。

米国は22日、「知的財産や個人情報の保護」を目的に領事館の閉鎖を命じたことを明らかにした。

汪報道官は「中国は必要な措置を講じるとともに正当な権利を保護しなければならない。これは両国民の友好的な絆を引き裂くことになる」と述べた。

また、ビザに関する詐欺行為や軍との関係を隠蔽した罪に問われた中国の研究者がサンフランシスコの中国領事館に身を隠しているという報道に関する質問には、米国に滞在する中国の学者への嫌がらせや弾圧のために口実を使うのをやめるよう米国に求めるとした。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国は四川省成都の米総領事館を閉鎖する可能性がある。ロイターは前日、中国が湖北省武漢市の米総領事館の閉鎖を検討していると報じた。

中国共産党系メディア、環球時報の胡錫進編集長は、香港にも大規模な米総領事館があると言及。「総領事館が情報の中枢であることは明白で、閉鎖しないにせよ、職員を100人か200人に減らすことはあり得る。これだけでも米政府にとってはかなりの打撃になる」と述べた。

米総領事館はこの他、広東省広州、上海、遼寧省瀋陽にある。米国の中国総領事館は、ヒューストンの他、カリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルス、イリノイ州シカゴ、ニューヨークに置かれ、ワシントンには中国大使館がある。

ある米当局の幹部は、ヒューストンの総領事館閉鎖の理由について、一つの事由がきっかけになったわけではないとし、同総領事館が違法もしくは疑わしい中国の外交活動に継続的に関与していたためとの見方を示した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・感染防止「総力挙げないとNYの二の舞」=東大・児玉氏
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、21日の新型コロナ新規感染230人程度 13日連続で100人以上続く
・インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然


20200728issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月28日号(7月21日発売)は「コロナで変わる日本的経営」特集。永遠のテーマ「生産性の低さ」の原因は何か? 危機下で露呈した日本企業の成長を妨げる7大問題とは? 克服すべき課題と、その先にある復活への道筋を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハセット氏のFRB議長候補指名、トランプ氏周辺から

ビジネス

FRBミラン理事「物価は再び安定」、現行インフレは

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中