最新記事

安全保障

日本政府、イージス・アショア配備再開も 海上や沿岸に発射台設置案

2020年7月10日(金)20時33分

配備手続きの停止を決めた迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアについて、日本政府が再び計画を進める可能性があることが明らかになった。写真はルーマニアに配備された米軍のイージス・アショアの建屋。2016年5月、デベセル空軍基地で撮影(2020年 Inquam Photos/ロイター)

配備手続きの停止を決めた迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアについて、日本政府が再び計画を進める可能性があることが10日、明らかになった。関係者によると、レーダーと発射台を別々の場所に設置し、ブースター落下の危険性を取り除くことを検討しているという。

河野太郎防衛相は6月中旬、迎撃ミサイルのブースターを安全に落下させることが困難などとして、イージス・アショアを山口県と秋田県に配備する手続きを停止すると発表した。

しかし、事情に詳しい同関係者によると、日本政府はロッキード・マーチン製のレーダーを取得する契約を解除していない。米政府の提案に基づき、他の場所に配備が可能か、技術的な調査を進めることを検討している。

「契約をそのままにして、装備を活用したいと考えている」と、同関係者はロイターに語った。

ブースターが落下しても周囲に危険が及ばないようするため、レーダーと発射台を別々の場所に設置。レーダーが捕捉した情報に基づき、海上に造ったプラットフォームや沿岸部から迎撃ミサイルを発射することなどが考えらえるという。海上自衛隊が運用するイージス艦からもミサイル発射は可能だ。

いずれを選択しても、イージス・アショアの配備は中国とロシアの反発を招きかねない。新型レーダーはイージス艦が搭載する既存のものの3倍の能力があるとされる。中国とロシアの奥地まで見えるようになることから、両国は日本が配備することに反対してきた。

中谷元・元防衛相はロイターの取材に対し、航空自衛隊のレーダー基地が全国に28カ所あり、そのうち2カ所にイージス・アショアのレーダーを設置することが可能だと指摘。発射台は別の場所に配備できるとした。

与党・自民党はイージス・アショアの配備手続き停止を受け、新たな防衛体制を議論。中谷氏は他の防衛相経験者とともに、検討会で話し合いを進めている。

日本政府は国家安全保障会議(NSC)で安保戦略を見直す方針で、敵基地攻撃を含め、さまざまな選択肢を検討していく。

(取材協力:竹本能文、久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・東京都、新型コロナ新規感染は昨日を上回り243人 2日連続200人台は初の事態
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200714issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。

ニュース速報

ワールド

香港、居住者に無料で新型コロナ検査を実施へ 中国に

ビジネス

独輸出と鉱工業生産、6月は前月から増加 中国の需要

ワールド

中国外務省、米国のTikTokなどへの取引停止措置

ワールド

トルコ中銀が「裏口」金融引き締め、リラ急落に対応

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本」

人気ランキング

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    中国はファーウェイ5Gで通信傍受する、英米の歴史からそれは明らか

  • 3

    日本人の親による「子供連れ去り」にEU激怒──厳しい対日決議はなぜ起きたか

  • 4

    地球上で最も天体観測に適した場所が特定される──し…

  • 5

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 6

    死刑に賛成する弁護士もいる、終身刑ではいけない理…

  • 7

    再開は早過ぎた?クルーズ船でクラスター発生、寄港…

  • 8

    抗議デモに参加した17歳息子の足元に新品の靴 略奪…

  • 9

    【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に…

  • 10

    フィリピン首都マニラ都市圏が再ロックダウン 新規…

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階氏や今井氏など

  • 4

    【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスク…

  • 5

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている.....…

  • 6

    「韓国の対応は極めて遺憾、このような状況では政策対…

  • 7

    抗議デモに参加した17歳息子の足元に新品の靴 略奪…

  • 8

    南シナ海でやりたい放題の中国、ベトナムいじめが止…

  • 9

    学生が大学を訴える──質落ちたオンライン授業に「学…

  • 10

    K-POPも韓流ドラマも実は世界で売れていない? 韓国…

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    「金正恩敗訴」で韓国の損害賠償攻勢が始まる?

  • 4

    中国・長江流域、豪雨で氾濫警報 三峡ダムは警戒水位3…

  • 5

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊は…

  • 6

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求…

  • 7

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている.....…

  • 8

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 9

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 10

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月