最新記事

トランプ政権

解任されたボルトンがトランプに反撃 暴露本の破壊力は大統領選を左右する?

Bolton’s Bombshell Tell-All Book

2020年6月23日(火)13時40分
ロビー・グレイマー、ジャック・デッチ

ボルトンの暴露は、11月の大統領選での民主党候補指名を確実にしたバイデンにとって新たな攻撃材料になる。ただし今まで数々のスキャンダルが浮上してもトランプ人気に陰りが見られなかったことを考えると、この回顧録によって共和党内の擁護派や熱烈な支持層がトランプを見限るかどうかは分からない。

今回の大統領選でトランプは中国を狙い撃ちし、武漢で最初に発生した新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで自分こそが中国政府に立ち向かう最良の指導者だというイメージを打ち出している。

「責任を負うべき国が1つある。中国だ」というのが、トランプ陣営の最近の選挙CMのキャッチコピーだ。「彼らは嘘をつき、真実を隠した」。トランプを支持する政治活動団体「アメリカ・ファースト・アクション」はミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニアといった激戦州(前回2016年の選挙ではいずれもトランプが制した)で1000万ドルを投じ、「北京バイデン」というネガティブCMを流しまくっている。

回顧録の出版を阻止したいホワイトハウスは、同書には機密情報が含まれていると主張。ボルトン側がホワイトハウスと確認を重ねた詳細を明らかにして反撃すると、政権は出版差し止めを求めて提訴した。トランプはボルトンが機密情報を開示すれば「刑事犯罪上の問題」になるとした上で、「私との会話は全て機密情報だ」と言い放った。

トランプに反旗を翻した元側近はボルトンが初めてではない。ジェームズ・マティス前国防長官は先頃、「トランプは私の人生において、アメリカ国民に団結を促そうとせず、そのそぶりさえ見せない初めての大統領だ。トランプは私たちを分断しようとしている」と語った。

ボルトンの回顧録が大統領選をどれだけ左右するかは分からない。だが、影響が小さいと見なすのは無理がある。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2020年6月30日号掲載>

【話題の記事】
巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされた黒人の遺体発見が相次ぐ
異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開
地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される

20200630issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月30日号(6月23日発売)は「中国マスク外交」特集。アメリカの隙を突いて世界で影響力を拡大。コロナ危機で焼け太りする中国の勝算と誤算は? 世界秩序の転換点になるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税の影響で

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任へ=関係筋

ビジネス

物言う株主サード・ポイント、USスチール株保有 日

ビジネス

マクドナルド、世界の四半期既存店売上高が予想外の減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中