最新記事

韓国社会

韓国、極限の修行強要する教会 奴隷となった信者が見たものは

2020年6月11日(木)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

信者たちはSNSで反撃キャンペーン

興味深いことに、この「光と真理教会」信者の特徴として、平均年齢が若いことがあげられる。そのためか、現信者たちによる教会の無実を訴えるパフォーマンスはネットを通じて行われている。例えば、Twitterに「#光と真理教会を助けてください(빛과진리교회를살려주세요)」のハッシュタグを作って発信したり、「わい曲ストップ」と書かれたプラカードを持って写真を撮り、信者たちが次々にオンラインにアップするキャンペーンを行うなど、今どきの作戦がとられている。

もちろん、「リーダーシップ訓練」でもリーダーから指示は、KakaoTalkを通じて行われ、人糞を食べた女性は、食べる一連の様子を自撮り撮影をしてリーダーに報告するなど、リモートで指示から結果報告までがおこなわれていたことも、IT大国と呼ばれる韓国ならではだと言える。

代表の牧師は自身の関与を否定するが──

MBCの人気番組による告発放送もあって、一気に注目を集めたこの事件は、ソウル北部地検に訴状が受付されおり、現在東大門警察署に捜査指揮が移っている。警察では21人にも上る情報提供者の事情聴取も行われた。

さらに、この調書を踏まえて警察は5月12日教会の関連施設10カ所を4時間かけて家宅捜索し、キム牧師を含む教会関係者3名が海外逃亡しないよう、国外出国禁止令を出した。

警察は5月末、キム牧師を警察に呼び調査を行ったが、本人は「チーム長が各信者に指示していたため、自分は知らなかった」と自らの責任を否定する姿勢を貫いている。警察は各訓練の担当者とこの牧師を再度警察に呼んで、調査を引き続き行っていく予定だという。

現代のような混沌とした世の中、人々は何かにすがろうと必死になっているのだろう。それが信仰に走ってしまう気持ちもわからなくもない。しかし、だからと言って何をしてもいいわけではない。「信仰心を試すために」「神様のために」などと言葉巧みに誘導してくる人たちから利用されないためにも、冷静な目をもつことを忘れてはならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中