最新記事

韓国

韓国、防疫強化期間を延長 文在寅大統領や閣僚は給与30%を返納し失業対策に

2020年6月16日(火)18時01分
佐々木和義

新規感染者が一桁に減るまで、首都圏で実施している防疫強化を延長 ...... Kim Min-Hee/REUTERS

<韓国では、新型コロナウイルス新規感染者が一桁に減るまで、首都圏で実施している防疫強化を延長。いっぽうで失業者、中小企業への支援策も打ち出している ......d>

韓国中央災難安全対策本部は2020年6月12日、新型コロナウイルス新規感染者が一桁に減るまで、首都圏で実施している防疫強化を延長すると発表した。前月26日から公共交通機関の利用者に義務付けているマスク着用の対象施設を拡大し、未着用者には罰金を科す計画だ。

営業自粛勧告や利用者名簿の作成義務など防疫ルールの管理も強化する。遊興飲食店や学習塾等8業種だった適用対象に一部食堂や布教施設が加えられた。

いっぽう、ウイルス感染の長期化で失業者が増えるなか、政府は中小企業への支援策を打ち出している。

20代から40代の雇用環境の悪化が著しい

韓国雇用労働部が2020年5月に支給した求職給与(失業手当)は1兆162億ウォン(約924億円)に達し、雇用保険制度を導入した1995年以来、はじめて1兆ウォンを突破した。

求職給与を新たに申請した人は前年同月比32.1%増の11万1000人で、受給者数は過去最多の67万8000人に達し、前月更新したばかりの最多記録を塗り替えた。求職給与の支給額は2月に過去最高の7819億ウォンに達した後、3月は8982億ウォン、4月には9933億ウォンと4か月連続で最高額を更新している。

なかでも20代から40代の雇用環境の悪化が著しい。韓国政府は「社会的距離確保」の規制を緩和した5月6日、高齢者向け短期雇用事業を再開し、60歳以上の就業者が30万2000人増加するなど、高齢者の雇用環境は改善したが、他の世代(の就業環境)は悪化の一途を辿っている。

20代の就業者は前年同月と比べて13万4000人減少し、統計調査をはじめた1982年以来最低値を記録した。15歳から29歳の青年層体感失業率も統計開始以来最低の26.3%で、15歳から29歳の青年4人に1人が事実上失業している実態が明らかになった。30代と40代の就業者も、いずれも前年を大きく下回っている。

臨時日雇い就業者は65万3000人減に

業種別でみると、製造業は5万7000人減り、3か月連続の減少となった。政府予算が投じられる保健・社会福祉サービス業はかろうじて増加したが、卸小売業は18万9000人減、宿泊・飲食業18万3000人減、教育・サービス業7万人減など対面サービス業の雇用は大きく減少した。

非正規のアルバイトはさらに深刻で、臨時日雇い就業者は65万3000人減となり、減少幅は通貨危機に見舞われた1998年9月の59万2000人を超えている。また、20万人の自営業者が、アルバイトを雇い止めにした。

求職給与の新規申請は、新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大した3月の15万6000人をピークに減少しているが、政府は、雇用維持支援金など財政支援の導入を受け、企業が従業員を解雇せず、休職を選択したと分析する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

円が対ドルで5円上昇、介入観測 神田財務官「ノーコ

ビジネス

神田財務官、為替介入観測に「いまはノーコメント」

ワールド

北朝鮮が米国批判、ウクライナへの長距離ミサイル供与

ワールド

北朝鮮、宇宙偵察能力強化任務「予定通り遂行」と表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中