最新記事

アメリカ経済

いつになったら経済は元に戻るのか──景気回復への長くて遠い道のり

GOODBYE YELLOW BRICK ROAD?

2020年5月21日(木)17時00分
サム・ヒル(本誌米国版コラムニスト)

ILLUSTRATION BY ARTPARTNER IMAGES/GETTY IMAGES

<新型コロナでほとんど仮死状態に陥った経済が以前の水準に戻るのは1年後か、それとも10年後か>

いつになったら経済は元に戻るのか──。新型コロナウイルス感染症の拡大が、取りあえずピークを越えたように見えるなか、アメリカでは政府も国民も「ポスト・コロナ経済」へと関心が移ってきている。

ホワイトハウスの見解は一致していない。4月のある記者会見で、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問とスティーブン・ムニューシン財務長官は、米経済は7月には「盛り上がっている」と、極めて明るい見通しを示した。一方、ケビン・ハセット大統領上級顧問(大統領経済諮問委員会前委員長)は、米経済は「重体だ」と述べて、ピーター・ナバロ大統領補佐官に制止された。

景気回復とは、マイナス成長が底打ちして、プラスに転じることをいう。だが一般市民にとっての回復とは、経済がコロナ前の状態に戻ることだろう。これには時間がかかる可能性が高い。どのくらいの時間かは、政治ではなく科学が決める問題だと、著名投資家のウォーレン・バフェットは、5月2日のバークシャー・ハサウェイの年次株主総会で語った。

英シンクタンクのオックスフォード・エコノミクスの予測では、1〜6月期の米経済はマイナス12%成長となり、その後、少しずつプラスに転じるという。そこで、専門家が示す回復の見通しを、分かりやすい言葉で解き明かしてみよう。

まず、いい知らせから。

アメリカは第2の大恐慌には向かっていない。1929年に大恐慌が始まったとき、米経済は4年連続でマイナス成長に陥った。だが今回は「1930年代を繰り返すことはないだろう」と、ブルッキングス研究所ハッチンズ財政金融政策センターのデービッド・ウェッセルは言う。

「(トランプ政権は)迅速かつ攻撃的な金融・財政政策を打ち出してきた。議会は十分な仕事をしているとは言えないが、FRB(米連邦準備理事会)と共に、経済への影響を認識して、行動を起こしてきた」

完全な回復は4年以上先?

それでも、米経済がコロナ前の水準に戻るのは、2021年以降になるだろう。今年の成長グラフはジグザグを描く可能性が高い。新規感染者が減り、巨額の景気刺激策が発動されれば、一時的に経済は上向く。そこで緊張が緩み、あるいは秋にも感染拡大の第2波が到来すれば、再び成長はマイナスに転じる。ジグザグの幅が小さくなるのは、ワクチンの実用化や有効な治療法が確立されてからになるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国中銀、政策金利据え置き 中東紛争がインフレ・成

ワールド

20日分の石油国家備蓄を5月上旬以降放出、民間義務

ワールド

米英首脳、ホルムズ海峡での航行再開巡り電話会談=英

ビジネス

シェブロン、第1四半期の上流部門は16億―22億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中