最新記事

韓国

韓国、選挙でもドライブスルーやフェイスシールド 新型コロナウイルスと闘いつつの国会議員選挙 

2020年4月10日(金)10時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

新型コロナウイルスの影響で有権者との接触が難しい選挙運動を強いられている候補者 연합뉴스TV / YouTube

<外出自粛や社会的距離が求められるなか、総選挙に突入する国の騒動は......>

今月15日は韓国の「第21代総選挙」の投票日だ。300議席をめぐって争われるこの選挙は、文在寅大統領の中間評価という位置づけでもあり注目されている。10日からは期日前の事前投票が開始された。

昨年末まで日本でも大きく報道されていた曺国(チョ・グク)前法相をめぐる問題などの影響で、文在寅大統領の支持率が低迷していたが、今年に入りコロナ対策での与党の評価は上がっている。そんななか、2月中旬には、韓国の最大野党である自由韓国党を含む保守派3党が結集した新党「未来統合党」が発足し、若者の雇用問題など文在寅政権の弱点を訴えつつ、若者層にどれだけアピールできるかが注目されている。

それというのも、昨年末12月27日の選挙法改正により、韓国でも満18歳から投票権をもつようになった。今回は方改正後初めての総選挙となるため、今回の候補者たちの選挙活動キーワードは「若者に響く」そして、「コロナ対策」だと言えるだろう。

もともとユニークなパフォーマンスが多い韓国の選挙活動は有名である。エコアピールのために徒歩や自転車での移動というのは当たり前。街頭演説では歌や踊り、流行りの曲の替え歌なども定番化している。最近では多くの候補者がユーチューブチャンネル開設も行っており、公約アピールだけではなくプライベートな姿も動画で公開して、親近感を得るのに役立てている。

今回は、そんな日本では思いも付かないユニークな韓国の選挙活動を見てみよう。

公約実現後を演じる候補、人気ドラマの主人公をパクる保守系大物......

自局の大ヒットドラマ『梨泰院クラス』を保守系大物候補ホン・ジュンピョが選挙活動に利用したことを伝えるJTBCニュースルーム

自局の大ヒットドラマ『梨泰院クラス』を保守系大物候補ホン・ジュンピョが選挙活動に利用したことを伝えるJTBCニュースルーム JTBC News / YouTube

釜山の候補者ジョン・グン氏は、自ら公約に掲げた「地下鉄開通」をアピールするため、架空の駅起工式を行っている。3月8日から11日まで、地下鉄が通っておらず建設を希望する商業地区などで4回にわたって「希望の起工式」というパフォーマンスを行って注目を浴びた。

若者層票を取り込みたい候補者は、トレンドを意識した作戦に乗り出している。大邱から出馬した候補者で元自由韓国党代表の保守系大物政治家ホン・ジュンピョ氏は、WEBコミックからドラマ化されネットフリックスで世界配信もされているJTBCの大ヒットドラマ『梨泰院クラス』の人気にあやかり、自身を主人公に例えたポスターを発表し話題となった。

主人公パク・"セロイ"に准えた、ホン・"セロイ"という名前と、主人公キャラクターと自分との共通点を書き出したポスターは、SNSにアップされたとたん注目を集めたが、なんと原作者に使用許可を取っておらず、著作権者である原作漫画家チョ・グァンジン氏は7日、インスタグラムに「『梨泰院クラス』がどのような政治の影響も受けないことを望んでいます」と、無断使用について拒否感を表したコメントをアップした。

その後、パロディーポスターはSNSから削除されているが、ニュースなどでこの一連の騒動が報道されたため、悪目立ちとなったものの結果的に若者層に候補者の名前が浸透することとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「MSNBC」が「MS NOW」へ、コムキャスト

ビジネス

米8月住宅建設業者指数32に低下、22年12月以来

ワールド

ハマス、60日間の一時停戦案を承認 人質・囚人交換

ワールド

イスラエル、豪外交官のビザ取り消し パレスチナ国家
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中