最新記事

アメリカ政治

ランド・ポール米上院議員、コロナ陽性。父は新型ウイルス陰謀論者

Paul Tests Positive for COVID-19 After His Dad Dismissed Panic Over Disease

2020年3月23日(月)16時30分
クリスティーナ・チャオ

ウイルス陰謀論者を父にもち、トランプとも近いランド・ポール上院議員(写真左) Kevin Lamarque-REUTERS

<リバタリアンの父ロン・ポール元下院議員は、ウイルス危機は恐怖を煽って国民の自由を奪う政府の陰謀と主張していた>

米上院のランド・ポール議員(共和党、ケンタッキー州選出)が新型コロナウイルスに感染していることが3月22日、明らかになった。上院で感染が確認されたのは同議員が初めてだ。

6日前、父で自由意思論者(リバタリアン)として知られるロン・ポール元下院議員は「コロナウイルスはデマ」と題する論説を発表したばかりだった。

ワシントンにあるランド・ポール上院議員の事務所は22日、ツイッターに「上院議員はCOVID-19の検査を受け陽性だった」と投稿した。「体調はよく、自主隔離している。症状はなく、旅行やイベントへの出席が多かったことから念のために検査を受けた。感染者と直接に接触した認識はない」

事務所によれば「(ポールは)隔離期間が終われば上院に戻り、この困難な時期、ケンタッキーの人々のために働き続ける」という。また、事務所は10日前から遠隔勤務となっており、それ以降、議員と接触したスタッフはいないとしている。

<参考記事>コロナで人が消えたアメリカの首都ワシントン

「死者はたかだか5000人」と父

父ロン・ポール元下院議員の論説が公開されたのは16日。「政府にとって危機はたいそうありがたいものだ。不安に陥った国民は、政府の助けと引き換えによろこんで自由を放棄するからだ」と主張した。

またトランプ政権で新型コロナ対策を指揮する米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長のことを「恐怖拡散の責任者」と呼び、出演したテレビ番組で自分なら今はレストランには行かないと述べるなど「すでに悪化しつつある経済にさらなる痛手を加えた」張本人と非難した。

「死者数は全世界でたかだか5000人、アメリカでは100人にも満たないウイルスのために、いったい何をたくらんでいるのか」と元下院議員は書いた。

「結核による死者は2017年には160万人近くに上ったが、結核によるパニックなど起きていない」と彼は述べ、「今回のパンデミック(世界的大流行)がデマである可能性について、誰もが自問自答してみるべきだ」と訴えた。

<参考記事>新型コロナ蔓延でアメリカ大統領選は「未知の領域」へ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中