最新記事

台湾のこれから

台湾総統選、現職の蔡英文が圧勝「民主的な台湾は脅迫と威嚇に屈しない」

2020年1月12日(日)11時15分

11日に投開票された台湾総統選は、中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めた。写真は与党・民進党本部前に集まった蔡陣営の支持者。1月11日、台北で撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

11日に投開票された台湾総統選は、中国を厳しく批判した現職の蔡英文氏が地滑り的な勝利を収めた。軍事的なムチと経済的なアメを使って自国制度の受け入れを迫る中国との緊張が、さらに高まる可能性がある。

今回の選挙は民主化を求める香港の反政府活動が大きな争点で、蔡陣営は台湾がデモ参加者の希望だと訴え、中国が提案する「一国二制度」を拒否。過去最多となる約820万票を獲得し、親中姿勢を取る最大野党・国民党の韓国瑜高雄市長を260万票以上の差で破った。

蔡氏は勝利後、報道陣に対し「政府が人々に選ばれた民主的な台湾は、脅迫と威嚇に屈しない。中国はそのことを理解すべきだ」と語った。蔡氏の与党・民進党は、議会に当たる立法院選でも過半数を維持した。

台湾関連の問題を所管する中国の台湾事務弁公室は国営メディアを通じて声明を発表し、一国二制度の提案を改めて確認するとともに、台湾の独立に反対した。

中国は台湾を自国の一部とみなし、必要なら統一に向け武力行使も辞さない構えをみせている。中国の習近平国家主席は約1年前、平和統一が基本だとする中で、軍事力行使も選択肢と改めて語った。

香港並みの高度な自治を与えると中国が主張する「一国二制度」を歓迎する声は、台湾ではあまり聞かれない。半年以上続く香港の反政府活動を受け、さらに敬遠する声が強まっている。

台湾の重要な後ろ盾で、兵器を売却している米国は、再選された蔡氏に祝辞を送った。ポンペオ国務長官は声明で「米国との強固な関係を築いてきた蔡総統に感謝する。容赦ない圧力に直面しながらも、(中台)両岸の安定維持に尽力していることを称賛する」と語った。

昨年11月の香港の区議選では民主派が圧勝。今回の台湾総統選でも蔡氏が地滑り的な勝利を収め、中国にはさらに屈辱的な結果となった。「香港の友人たちは、我々が同じ結論に至ったことを喜んでくれていると思う」と蔡氏は語った。

香港の著名な民主活動家、黄之鋒氏はツイッターに、香港の人々にとって「貴重な瞬間だ」と投稿。「今日は台湾の多くの人たちにとって、民主主義と自由を守るという自らの運命を選んだ日だ。そして何より重要なのは、中国共産党政府の権威主義的な侵略にノーと言った日だ」と書いた。

[台北 11日 ロイターロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200114issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エネ価格「ECB基本シナリオに依然最も近い」=クロ

ワールド

再送トランプ氏、イラン高速攻撃艇「即座に排除」 封

ワールド

OPEC、4─6月の石油需要下方修正 中東情勢踏ま

ワールド

イスラエル、レバノン南部要衝で地上攻撃 直接会談控
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    トランプ政権に逆風...「イラン戦争でインフレ再燃」…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中