最新記事

英王室

英ヘンリー王子夫妻は、どうやって王室から「財政的に独立」するのか?

Meghan Markle and Prince Harry Financial Independence Explained

2020年1月10日(金)13時30分
トゥファエル・アフメド

英ヘンリー王子夫妻の突然の「独立宣言」に英国内外で波紋が広がった Daniel Leal-Olivas/REUTERS

<これまで受け取っていた公費を返上することで、自分たちで仕事ができるようにしたいというのが2人の願望>

今週8日に英ヘンリー王子(37)とメーガン妃(38)が、王室の「高位」メンバーの地位から退き、王室から「財政的に独立する道を目指す」と発表したことは、今後の夫妻の収入などに関して多くの疑念を呼んでいる。夫妻の今後の計画について詳細を見ていきたい。

ヘンリー王子夫妻が8日に開設した新たなウェブサイト(SussexRoyal.com)では、現在の夫妻の収入がどこから出ているか、現在夫妻が住んでいるウィンザーの公邸「フロッグモア・コテージ」や旅行の費用を誰が負担しているか、さらに今後どうやって財政的に独立するか、といった事柄が詳しく説明されている。

夫妻は、今後もエリザベス女王を支持し、王室の権威を尊重すると明言している。2人がさまざまな慈善事業の親善大使などを務めているのも、こうした王室の権威の裏付けがあってのことだからだ。一方で夫妻は、今後イギリスと北米を行き来することで「息子(第一子アーチ―君)を王室の伝統への感謝をもって育てると同時に、家族が次のステージに向かうことに集中できる空間を持つ」ようにすると表明した。

これに対して英王室は、ヘンリー王子夫妻が提唱する新たな王族の在り方に関する議論は「初期段階」にあるとして、さらに「これまでとは違ったアプローチを取りたい夫妻の願望は理解するが、これは複雑な問題で解決までには時間が掛かる」とコメントしている。

夫妻の現在の収入と将来の計画について分かっていることは以下の通りだ。

◇ ◇ ◇


――夫妻の現在の収入は?

現在のヘンリー王子一家の収入は公費と私費の両方で賄われている。夫妻のウェブサイトによると、収入の95%はヘンリー王子の父親のチャールズ皇太子が所有・運営するコーンウォール公領の収益から得ている。

この公領は「ウェールズ公(現在はチャールズ皇太子)」が家族の生計を立てるために所有しているもので、牧場や不動産、レジャーコテージ、庭園施設等からの収益が皇太子に入る。

ヘンリー王子夫妻の収入の残りの5%は政府支出の王室費で、エリザベス女王が王室メンバーに対して外国訪問などの公務にかかる費用を配分する。

夫妻はウェブサイトで、この収入の5%を占める王室費は、私的な事柄に使われることはなく、例えばメディアに対応する広報担当など「公務に必要な人員の雇用」に使われていると言う。

――夫妻はどうやって財政的に独立するのか?

夫妻は収入の5%を占める王室費を受け取らない計画で、これによって実質的に王室から独立する意向だ(上記の通り、残りの95%の収入はチャールズ皇太子の私費で賄われている)。

現在、夫妻は王室費から収入を得ている王室メンバーなので、公務以外の勤務は許されていない。5%の公費収入を返上することで、公務以外の仕事で収入を得ることができるようになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、10月は前月比・前年比とも伸び
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中