体長4メートルの巨大ニシキヘビと死闘 生態系守る米スネークハンター
アリゲーターをも飲み込み
ビルマニシキヘビは体長18フィート(5.5メートル)以上、体重100ポンド(45キロ)に以上になるものもあり、エバーグレーズのぜい弱な生態系に深刻な被害を及ぼしている。米地質調査所(USGS)が2012年にエバーグレーズ国立公園を調査したところ、アライグマは99%、オポッサム(フクロネズミ)は98%、ボブキャットは87%も減っていた。アリゲーター(アメリカワニ)を飲み込もうとしているビルマニシキヘビが見つかったこともある。エイコックさんは「昨晩、土手でオポッサムを1匹見かけた。この5、6カ月で小型動物を目にしたのはこれだけだろう」と話した。
南フロリダ水管理局やフロリダ魚類野生生物保護委員会など州当局は数年前にビルマニシキヘビせん滅作戦を開始。ニシキヘビハンターには捕まえたヘビの大きさや重さに応じて時給を支払っている。
2019年の報告によると、この2017年3月にこのプログラムが始まってから当局と契約を結んだハンターが駆除したビルマニシキヘビは約1900匹。
苦戦続き
ただ、ビルマニシキヘビとの闘いで州当局は苦戦している。ビルマニシキヘビは体が大きく、生息数も数十万匹との推計があるほど多いが、エイコックさんによると1匹見つけるのに平均で8時間もかかる。
入手可能な最新のデータによると、このプログラムの開始当初から2018年半ばまでに南フロリダ水管理局、フロリダ魚類野生生物保護委員会から捕獲を請け負ったヘビハンターがエバーグレーズでヘビ探しに充てた時間は計1万4000時間で、駆除は1186匹。最大100個の卵を持つメスが見つかった例もある。
フロリダ州の野生生物管理部門を率いるクリステン・ソマーズさんは「生態系の中で影響を受けやすい、鳥の繁殖地での駆除を目標にしており、捕殺数はともかく、1匹でも駆除すれば効果はある」と述べた。
しかしエイコックさんは15日の夜、ビルマニシキヘビを1匹も見つけることができなかった。気温が低く、変温動物のヘビが物陰に身をひそめてしまったからだ。
エイコックさんは「エバーグレーズの生態系からビルマニシキヘビが1匹でも減れば、生態系の回復という目的に一歩近づく。ここは楽しくもあるが、任務には真剣に取り組んでいるし、努力は惜しまない」と語った。
[オチョピー(米フロリダ州) ロイター]


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