最新記事

アメリカ政治

トランプ弾劾裁判、ボルトン招致の可能性高まる 共和党4議員が賛成へ

2020年1月28日(火)08時45分

米与党共和党のミット・ロムニー上院議員は27日、トランプ大統領の弾劾裁判にボルトン元大統領補佐官(写真)を新たな証人として招致することを巡り、共和党議員少なくとも4人が支持に回る可能性が高まっていると述べた。ワシントンで4月撮影(2020年 ロイター/Joshua Roberts)

米与党共和党のミット・ロムニー上院議員は27日、トランプ大統領の弾劾裁判にボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を新たな証人として招致することを巡り、共和党議員少なくとも4人が支持に回る可能性が高まっていると述べた。

共和党議員4人が支持すれば、野党民主党はボルトン氏招致に必要な票を獲得することになる。

ロムニー議員は記者団に対し「ボルトン氏の証言を聞くべきとするわれわれの考えに他の共和党議員が賛同する公算が高まっている」と語った。

米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は26日、ボルトン氏が出版を予定する著作の原稿で、トランプ大統領が当時大統領補佐官だったボルトン氏に対し、ウクライナがバイデン前副大統領と息子の調査に協力するまで同国への軍事支援を凍結したい考えを伝えていたと報じた。

民主党は、トランプ氏が国内の政敵であるバイデン氏を陥れるため、ウクライナに対し、軍事支援と引き換えに同氏を調査するよう求めたと主張しており、ボルトン氏の原稿の内容が確認されば、民主党側の主張を裏付ける材料となる。

ロムニー議員に加え、共和党では穏健派として知られるスーザン・コリンズ上院議員も、ボルトン氏の著書を巡る報道を受け「証人招致の根拠が強まっている」と述べた。CNN記者のツイッターによると、トランプ大統領に近いとされる上院司法委員会のリンゼー・グラム議員はボルトン氏の原稿入手に向けた召喚状発行に支持を表明した。

トランプ大統領は記者団に対し、ボルトン氏への発言を否定。同氏の「原稿には目を通していないが、ジョン・ボルトンには何も言わなかったと断言できる」と言明した。

証人招致の是非について上院は、31日か2月1日に採決する可能性がある。弾劾裁判で検察官役を務める民主党議員らはボルトン氏の原稿によって同氏招致の必要性が一段と高まったとしている。

大統領弁護団はボルトン氏に言及せず

上院ではこの日、トランプ大統領の弁護団による2日目の冒頭陳述が行われたが、ボルトン氏についての直接の言及はなかった。

ジェイ・セクロー弁護士は「私たちは公開されている情報には言及するが、証拠の基準を全く満たさない憶測や疑惑は取り上げない」と強調した。

パム・ボンディ弁護士は、トランプ氏がウクライナにバイデン氏親子の調査を要請した際の根拠とした不正疑惑について、不正を疑うに足る十分な理由があったと論じた。

メディアの報道やウクライナのガス会社の記録、弾劾調査での証言を引き合いに出し、バイデン氏の息子、ハンター・バイデン氏がウクライナのガス会社「ブリスマ」の役員を務めたことについて多くの独立系の専門家が利益相反を懸念していたと指摘。「バイデン氏親子とブリスマを問題視すべき理由があるとこれら専門家全員が考えた」と主張した。

バイデン氏の広報担当者は、ボンディ氏が主張した疑惑は、根拠がないとおおむね結論づけられていると反論した。

弁護団はまた、ウクライナのゼレンスキー大統領に対してトランプ氏が圧力を掛けたとの下院民主党の主張に反論。

弁護士のマイク・パープラ氏は、圧力は感じなかったとするゼレンスキー氏のこれまでの発言に言及したほか、バイデン氏への調査が行われなかったにもかかわらず、対ウクライナ軍事支援が結局は実施されたと指摘した。

下院の弾劾調査で、トランプ政権がオバマ前政権よりも多くの軍事支援をウクライナに対して行ったとの証言があったとも述べた。

「これら全てが、軍事支援と調査は無関係だったと示している」と語った。

*情報を追加しました

[ワシントン 27日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地

ビジネス

米国株から資金流出、過去2週間は22年末以来最大=

ビジネス

中国投資家、転換社債の購入拡大 割安感や転換権に注

ワールド

パキスタンで日本人乗った車に自爆攻撃、1人負傷 警
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中