最新記事

日韓関係

韓国ユニクロがヒートテック無料贈呈で長蛇の列 日本製品不買運動も転機か?

2019年11月28日(木)16時30分
佐々木和義

伝統住居、スナック、建築工具も......

日本企業が支えるブームもある。韓国は集合住宅が主流だが、一方で、注目を浴びている伝統家屋の"韓屋"を模した戸建住宅にも日本企業が関わっている。

2010年、忠清南道の公州市と扶余郡は百済遺跡の世界文化遺産登録を目指し、伝統住居を体験する公州韓屋村を造成した。韓国産マツなどで建設していたが、途中から宮崎県のスギ集成材とプレカット材を導入する。プレカットは現場での作業を省力化し、工期を大幅に短縮できる韓国にはない技術だ。韓屋の完成から3年後、韓国産マツ材はひび割れが発生していたが、宮崎県のスギ集成材は割れがほとんどなかったという。

カルビーとヘテ製菓の合弁会社が発売した「ハニーバターチップ」は、2014年から15年にかけて爆発的にヒットして有名だ。品切れが続出し、買い求める人たちが行列し、インターネットで3倍から4倍で売る人すら現れた。ヘテカルビーの増産体制が整って、供給が安定すると沈静化するが、ジャガイモの価格が倍近くまで上昇した。ハニーバターチップの増産でジャガイモの市場バランスが崩れたのだ。製菓メーカー各社はポテトチップスの開発を進め、いま市場にはジャガイモを使ったさまざまな菓子が溢れている。

ほかにも、小規模事業者も日本依存が大きい。建築技術者は"マキタ"がないと仕事にならないといい、印刷工場は"三菱"を導入し、武藤工業製のプリンタも知られている。

日本製品の不買運動がはじまって4ヶ月余り。日系企業は販売や供給を見直し、日本製品を輸入する韓国企業は在庫の値段を下げて販売する。運動が始まって以降日本製品を避けてきた消費者は、韓国製品で代替できない製品を中心に日本ブランドをふたたび購入しはじめている。韓国社会に深く根ざした日本企業は多く、不買運動も一部の過激な活動を除いて転機にあると言えそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中