最新記事

中国

四中全会と民主とブロックチェーン

2019年11月15日(金)12時25分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国共産党のシンボル「鎌と槌」 Damir Sagolj-REUTERS

10月24日に習近平はブロックチェーン戦略を表明した後、31日に四中全会を終えると上海に行き「中国式民主」に言及した。輸入博覧会で講演し上海はブロックチェーンの花盛りだ。この流れは何を意味するのか?

通常通りだった四中全会の開催時期とテーマ

第19回党大会後の四中全会(第4回中国共産党中央委員会全体会議)に関して「ここまで開催できないのは反習近平派が多いからだ」とか「人事異動の発表があるはずだ」といった、「とんでもない憶測」が長いこと流れていたが、四中全会の開催時期は全く正常だったことを、まず述べたい。

少なくとも過去30年間ほどの党大会開催時期と四中全会開催時期との比較を行ってみよう。

  第13回党大会1987年:四中全会1989.6.23-24

  第14回党大会1992年:四中全会 1994.9.25-28

  第15回党大会1997年:四中全会 1999.9.19-22

  第16回党大会2002年:四中全会 2004.9.16-19

  第17回党大会2007年:四中全会 2009.9.15-18

  第18回党大会2012年:四中全会 2014.10.20-23

  第19回党大会2017年:四中全会 2019.10.28-31

このように、党大会の2年後に四中全会が開催されるというルールは確実に守られていて、「四中全会が開催できないほど習近平は追い詰められている」などという状況はないということが歴然としているだろう。少しも遅れていないのである。「2年後開催のルール」がきちんと守られている。

異常だったのは三中全会で、国家主席の任期を撤廃する憲法改正を行うという異常事態のために、第19回党大会後に、一気に「一中全会(2017年11月)、二中全会(2018年1月)、三中全会(2018年2月)」と連続して開催してしまったことだ。

だから四中全会は正常な開催時期に戻したということだけである。

次に「人事異動があるはずなのに、それがなかったのは、習近平に後継者を選ぶだけの力がなかったからだ」という、これもまた「とんでもない憶測」が流れたようだが、中華人民共和国建国以来、四中全会で「人事」に関して討議したことなど、ただの一度もない。

このようなことばかりに目を向けていると、中国がまた日本を、いや、アメリカを追い抜こうと、虎視眈々と狙っているのが何も見えなくなってしまう。

上海で「中国式民主」を語る

今回の四中全会で何が重要かというと、その前後に何が起こり、いま中国がどういう流れの中にあるかということである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活のシナリオとは?
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中