最新記事

中国

中国オフショア人民元戦略:グレーターベイエリアにマカオ証券取引所

2019年10月30日(水)13時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

Kim Kyung Hoon-REUTERS

混沌とする香港情勢の中、中国政府は8月、深セングレーターベイエリア経済構想に重点を置く方針を打ち出したが、そこにはマカオに証券取引所を新設する戦略が潜んでいた。人民元国際化を強化する中国の狙いを読み解く。

マカオ証券取引所の創設

8月9日、中共中央・国務院は「深センを中国の特色ある社会主義先行モデル区に指定することを支持することに関する意見」を発布した。これに関して筆者は本シンクタンクにおける論考で<「こっちの水は甘いぞ!」――深センモデル地区再指定により香港懐柔>という視点からの考察を試みたが、どうも自分自身、しっくりとこない何かが残っていた。

それを明らかにすべく、本シンクタンクの中国代表である研究員・孫啓明教授と連絡を取り続けていたのだが、10月20日、孫啓明教授から以下のようなメールが舞い込んだ。

――中国政府の目的は決して深センを「香港を代替させる役割」として位置づけているのではなく、あくまでも「香港、深セン、マカオ(澳門)」を同等に位置づけ、「三足鼎立(ていりつ)」(三つの勢力が並び立つ)により三つのオフショア人民元のチャンネルを創ることにあります。マカオはやがて新しい証券取引所を設立することになっています。まだ中央による正式の発表はありませんが、しかし12月になったら公表するでしょう。マカオの中国返還20周年記念日である今年の「12月20日」あたりに注目しているといいでしょう。

――中国には現在5つの証券取引所があることになります。「上海、深セン、香港、台湾そして新しく設立されるマカオ」の5つです。このうち台湾はまだ大陸の管轄外なので、現実的には大陸には4つの証券取引所があることになり、それは「珠三角(珠江デルタ)」に3つ、「長三角(長江デルタ)」に1つということになります。マカオ証券取引所はオフショア人民元のナスダック市場を目指しています。時期が熟せば、マカオ証券取引所の設立は、中央(政府)がマカオ返還20周年記念のビッグ・プレゼントになるでしょう。

―― マカオ証券取引所は何をするかというと、先ずは国内最先端科学技術イノベーション企業に対するサービスをして(上場してもらい)、その株を人民元で取引するというスキームを形成します。マカオを通して自由に資金の行き来を可能ならしめ、その株は人民元で取引できるようにします。マカオの資金の出し入れは自由なので、全世界の取引者は誰でもマカオ証券取引所を通して人民元を使って取引することが可能になるのです。これは中国の「株を印刷する」チャンネルを増加させ、企業の体制改革を促して上場しやすいようにし、実体経済を発展させます。

ニュース速報

ビジネス

三井住友FG、中国で証券会社の設立申請 独資で来年

ワールド

英競売クリスティーズ、香港拠点を4倍に拡張へ

ビジネス

ホンダ、鈴鹿の8月非稼働日を追加 半導体不足とコロ

ワールド

新型コロナ感染急増、「強い危機感有している」=西村

MAGAZINE

特集:モデルナの秘密

2021年8月 3日号(7/27発売)

コロナワクチンを高速開発したベンチャー企業モデルナの正体とmRNA治療薬の可能性

人気ランキング

  • 1

    1匹だけみにくい子猫、病気と思ったら「オオカミ」だった

  • 2

    チベットの溶ける氷河から、約1万5000年前の未知のウイルスが発見される

  • 3

    競泳界の「鉄の女」が水の上を歩く奇跡の一枚

  • 4

    「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手…

  • 5

    毛玉のお化け、安楽死を逃れ生まれ変わる

  • 6

    人間のオモチャにされたイルカ死ぬ──野生動物に触る…

  • 7

    ワクチンが怖い人にこそ読んでほしい──1年でワクチン…

  • 8

    【英国から見る東京五輪】タイムズ紙は開会式を「優…

  • 9

    肩こりや腰痛に悩む人がハマる大きな失敗 「姿勢をよ…

  • 10

    知らぬ間に進むペットのコロナ感染 感染者と同居の…

  • 1

    1匹だけみにくい子猫、病気と思ったら「オオカミ」だった

  • 2

    加害と向き合えない小山田圭吾君へ──二度と君の音楽は聴きません。元いじめられっ子からの手紙

  • 3

    「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女子ビーチハンド代表

  • 4

    「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手…

  • 5

    人間のオモチャにされたイルカ死ぬ──野生動物に触る…

  • 6

    「三国志」は日本人も中国人も大好き(でも決定的な…

  • 7

    チベットの溶ける氷河から、約1万5000年前の未知のウ…

  • 8

    東京五輪は始まる前から失敗していた

  • 9

    国際交流を奪われた悲しき五輪で角突き合わせる日本…

  • 10

    競泳界の「鉄の女」が水の上を歩く奇跡の一枚

  • 1

    1匹だけみにくい子猫、病気と思ったら「オオカミ」だった

  • 2

    加害と向き合えない小山田圭吾君へ──二度と君の音楽は聴きません。元いじめられっ子からの手紙

  • 3

    20万円で売られた14歳日本人少女のその後 ──「中世にはたくさんの奴隷がいた」

  • 4

    「無駄に性的」罰金覚悟でビキニ拒否のノルウェー女…

  • 5

    「1日2個、カットしてスプーンで食べるだけ」 メンタル…

  • 6

    「寝はじめる姿勢」で目覚めが変わる 寝ても疲れが取…

  • 7

    人間のオモチャにされたイルカ死ぬ──野生動物に触る…

  • 8

    「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手…

  • 9

    韓国で、日本製バイクの販売が伸びている理由

  • 10

    テスラ6月に発売した新型「モデルS」運転中に発火=所…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メンバーシップ登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

STORIES ARCHIVE

  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月