最新記事

韓国【文在寅政権の成績表】

なぜ韓国の若者は失業に苦しみ続けるのか

2019年10月7日(月)11時30分
前川祐補(本誌記者)

koreajobrate.png

全体平均を大きく上回っている20代の失業率だが実質的な失業率は20%を超える。
出所:韓国統計庁資料を基にニューズウィーク日本版編集部作成


こうなると、学生は就職浪人をしてでも大企業や公務員を目指そうとするし、親もそれを支援する。一方で、日本で言うところの3Kの職場は激しい人手不足が起きている。

韓国の大学も、就職率の高さが学生へのアピール材料になるため中小企業であっても学生を就職させたいと考えるが、現実との乖離がある。

韓国ではこうした雇用のミスマッチが根強く存在しているため、若者の就職状況はなかなか改善されない。

――文政権は公約として「81万人の雇用創出」など野心的な政策を掲げた。ここまでの進捗をどう評価するか?
文在寅政権における雇用政策の特徴は、公共部門における積極的な雇用創出を通じて民間部門の雇用創出を牽引しようとする点だ。そのため、公務員など公共性の高い社会サービス部門における雇用創出はある程度効果が出ている。

例えば、韓国には公共機関に対し一定の比率で若者を雇用することを義務付ける法律(青年雇用促進特別法)があるが、文政権は従来の比率(3%)か5%に引き上げることを検討している。

韓国雇用労働部によると、昨年は若者の新規雇用率が約7%になっており、さらにこの義務を履行した公共機関の割合も8割を超えるなど、保守政権時代の数字(2012年は5割弱)と比べて成果が出ている。

ただ社会全体でみると、実際に雇用が増えたのは社会福祉産業であり、特に高齢層の雇用拡大が進んでいる。一方で、若者が就職する際の大きな受け皿として製造業があるが、ここでの雇用状況は改善されていない。

今年の失業率は8月まで低下傾向が見られるが、中長期的にみると、今の政策では若者の失業率改善に好影響を与える要因にはならないのではないかと考える。

――その理由は?
公共部門の雇用拡大は財政負担を拡げるため、雇用創出の規模には制約があり、効果も短期的だからだ。また、そうした手法を民間部門に強要することはできず、景気低迷などにより採用拡大が困難な環境にあることを考えると、民間への波及効果は極めて限定的と言わざるを得ない。

――非正規職の若者を正社員化することも公約に掲げていた。
現政権が発足した際に文大統領が最初に言及したのがこの分野で、労働政策における重要課題として位置づけられている。

そのため、まず手を付けやすい公共部門において積極的に「正社員化」を進めている。政府資料によると、2019年の転換計画予定者の95%の正社員化*が決定している(非正規労働者の正規労働者転換率、2019年8月末)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

不明兵捜索、時間との戦い イランの猛攻耐えた米軍救

ワールド

トランプ氏、イランに合意期限「6日」 米戦闘機乗員

ワールド

米、イランで不明の戦闘機乗員救出 トランプ氏「史上

ワールド

イラク南部の巨大油田に攻撃、3人負傷 イラン国境に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 8
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中