最新記事

サミット

G7、米イラン対話に向け前進するも包括的合意は果たせず終了

2019年8月27日(火)11時31分

仏ビアリッツで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が26日閉幕した。会議ではイラン問題を巡り米イラン首脳会談の実現に向け道が開かれるなど一定の前進が見られたものの、それ以外の議題を巡っては各国の意見の隔たりが大きく、具体的な成果は得られなかった(2019年 ロイター/Ian Langsdon)

仏ビアリッツで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が26日、閉幕した。会議ではイラン問題を巡り米イラン首脳会談の実現に向け道が開かれるなど一定の前進が見られたものの、それ以外の議題を巡っては各国の意見の隔たりが大きく、具体的な成果は得られなかった。

トランプ米大統領は、主要6カ国とイランが2015年に締結した核合意を巡る確執の解消に向け、条件が整えばイランのロウハニ大統領と会談すると表明。数週間以内の首脳会談開催は現実的という考えを示した。同時にイランに対する経済制裁を解除するつもりはないとも言明した。

トランプ氏は「良い感触はある。ロウハニ氏は会談し、状況を改善することを望んでいると考える。イランはかなりの苦痛を感じている」と述べた。

また、フランスが米国とイランの緊張緩和に向けイランのザリフ外相をG7開催地に招いたことについて、驚きはないと言及。ただ、同外相との会談には時期尚早だとして応じなかった。

こうした中、マクロン仏大統領は、トランプ氏とロウハニ氏の会談に向けて準備が進んでいると表明。「イランは決して核兵器を保有してはならず、当該状況が地域の安定性を脅かすことがあってはならないという2点が非常に重要となる。向こう数週間内にロウハニ氏とトランプ氏による首脳会談が実現するよう期待する」と述べた。

世界経済の下振れリスク巡り万全の対応

会議では米中貿易摩擦や北朝鮮の核問題、ロシアのG7復帰などについても話し合われたが、各国の意見が食い違ったため、包括的な文書の発表は見送られた。代わりに議長国のフランスは貿易やイラン、リビア、ウクライナ、香港問題を盛り込んだ1ページのみの声明を発表した。

安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で、世界経済の不透明感が強まっていることについて「下振れリスクに対してはG7が協調して世界経済を支えていくため、機動的かつ万全の政策対応を行っていく必要性について認識が一致した」と明らかにした。

米中貿易摩擦に関しては、両国が安定的な関係を構築することは世界経済にとって極めて重要との認識を示した上で、米中協議について「世界経済が安定する方向でいい成果が出てくることを期待したい」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中