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格差社会

富の8割強が2割の富裕層に集中 過去最長の景気拡大は格差を拡大

2019年7月4日(木)18時02分

カリフォルニアの人気レストラン、フレンチランドリーのディナーは1人当たりの料金が325ドルと、10年前の240ドルから大幅に上昇。上昇率は35%でこの間のインフレ率の約20%を上回る。

アイビーリーグの雄、コロンビア大学の学部授業料は年間6万ドル弱と、08年度の3万9000ドルから大幅に上がった。S&P総合500種株価指数は10年間で3倍に上昇した。米大手ヘッジファンドの創業者で富豪のケン・グリフィン氏はマンハッタンの高級不動産を2億3800万ドルで購入。米国の居住用物件の販売価格としては過去最高だ。

しかしストリートイージーのデータによると、2010年から17年にかけてニューヨークの家賃は賃金の2倍のペースで上昇し、低所得者を苦しめている。調査会社ATTOMデータ・ソリューションズの調査によると、米住宅は価格面の手に入れやすさが08年以来で最低だ。コアリション・ホームレスによると、ニューヨーク市のシェルターで寝泊まりするホームレスの数は10年前に比べて70%増えた。

セントラル・バークシャー・ハビタット・フォー・ヒューミニティのキャロリン・バリ最高責任者は「貧困地域は状況が何も改善していない。住宅を手に入れるチャンスはまったく上がってない」と指摘。こうした地域では医療コストのほか食品や電気・ガス、住宅コストが高止まりする一方で就業機会が少なく、「好景気の実感はない」という。

政策当局者は大型減税と金利低下の効果が薄れ、米中通商紛争がくすぶる中で、景気拡大は鈍るとみている。低所得層はこの10年間に手に入れたわずかのものすら失いかねず、景気後退に陥れば最近職を得たばかりの人々が真っ先に解雇されると懸念している。

(Trevor Hunnicutt記者)

[ニューヨーク ロイター]


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